2024年7月13日(土)

Wedge REPORT

2010年6月4日

 農家が個別に市場出荷を行おうとすると、自身の手で野菜の梱包や運搬を行わなければならず、コストや時間、手間がかかってしまう。生産や輸送コストを効率化するには、地域の農家が集まって、輸送や選別を共同で行うほうがよく、そのぶん農家の所得も増える。こうして農家の組織化と主産地形成が進み、主産地からはたくさんの野菜が安定的に出荷できるようになった。

 高度経済成長を経て、各都市の人口過密、交通の発達主産地は、次第に農業を郊外や地方の安価な土地へと移動させる。次第に流通が広範囲になったため、出荷・流通の簡素化を図るために標準規格をつくり、統一化を進めたのである。

 最近は消費者ニーズの多様化や流通の複雑化が顕著で一律の規格を適用することが難しくなってきており、2002年以降は標準規格が廃止され、各産地ごとで都道府県条例、経済連(全農県本部)、JAによる規格を利用している。とはいえ、それらの各規格も、かつて全農が定めた規格をベースに産地特性を反映させたものがほとんどだ。「規格は3年ごとに改定するが、扱う作物の種類を増やすといった大きな要望が農家からない限りは、ほとんど変わらない」(JAひたち野)というところもある。

 本来、大量流通に乗せるにあたり、農家側のコスト低減や価格交渉力を確保することが目的であった規格。現在では広く浸透し、市場に出回る野菜は規格品であることが当たり前となり、うち9割がA級品であるといわれている。

スーパーに並ぶのはA級ばかり

スーパーの野菜コーナーには、形の整ったトマトやきゅうりが並ぶ。

 だからスーパーに行けば、野菜コーナーの野菜の形はどれも整っていてサイズも均一、並べばみな品ぞろいがしている。トマトは色むらや割れはなく丸い。きゅうりも濃い緑でまっすぐ、みな同じ長さだ。私たちはこれが当たり前だと思っている。

 むろん、もしスーパーに行って野菜の形状や大きさがばらばらであれば、消費者はどれを選べばよいのかとまどうだろう。値決めもグラム売りなどに変更しなくてはならない。ある大手スーパーの野菜担当者は、「野菜の規格も服のサイズと一緒」と言い切る。「S」「M」「L」とマスのニーズをざっくりと分け、それらをカバーするものが安定して売れるというわけだ。

 サイズ分けされていれば、流通上も都合がいい。商品のばらつきをなくすことで梱包や運搬がしやすく、どの産地から来たトマトも一緒にスーパーに並べられるというメリットがある。

 規格化は、販売者が安定的に同一に近い品物をそろえることができるようになると同時に、流通の統一化、簡素化を利便的に行うことができるものなのである。

規格=形状だけ?

 だが一方、この規格が厳しいがために一般市場に出回らない規格外野菜が「生産者から出荷されるものの20~30%を占める」(JA関係者)という現状を生んでしまっていることも事実だ。


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