2022年9月25日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2017年4月5日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

トラブル・シューター

 カナダのジャスティン・トルドー首相がホワイトハウスを訪問した際、トランプ大統領は女性起業家を集めた会議を開催しました。その会議にイバンカ氏は同席しています。ドイツのアンゲラ・メルケル首相がホワイトハウスを訪れた際にも、同氏は製造業と職業訓練に関する会議に参加しました。女性の社会進出に関する助言を大統領に行うと言われていますが、機密情報を入手できる立場にある同氏が女性の社会進出促進という限定的な役割に徹するとは到底思えません。

 「日米経済対話の行方を占う」で説明しましたようにホワイトハウスには、スティーブン・バノン大統領首席戦略官兼上級顧問が率いる極右グループ、クシュナー上級顧問を中心にしたビジネス志向の強いグループ並びに議会との調整役を任されたペンス副大統領やプリーバス大統領首席補佐官が属するグループがそれぞれ存在しています。ホワイトハウスでは長女イバンカ氏は明らかに特別な存在であり、3つのグループ間の促進役ないし仲介役を果たし問題解決に貢献することも可能です。一言で言えば、ホワイトハウスにおける人間関係のトラブル・シューター(問題解決の専門家)です。

結果を急ぐトランプ

 大統領就任後、約11週間が経過しようとしていますが、トランプ大統領は目に見える成果を出すことができません。選挙期間中、職業政治家を辛辣に批判してアウトサイダーとして勝利を収めたトランプ大統領には強固な党内基盤がありません。その結果、議会の反対勢力を説得するのがかなり困難であることが、今回の代替法案撤回から見えてきました。

 結果を早急に出すにはまず議会との信頼醸成が不可欠であり、それには時間を要します。オバマ前大統領は、医療保険制度改革法を成立させるまでに就任から約1年2カ月を費やしています。娘のイバンカ氏が結果第一主義を追い求めるトランプ大統領に行う最初の助言は、「結果を急がずに議会との信頼構築のために時間を費やすこと」ではないでしょうか。

  
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