築地コース 〜東京は「今」の集合体であることを感じる〜
九段下から東西線で茅場町、そこで日比谷線に乗り換え築地駅へ。こちらは腹ごしらえの前に、ちょっとお参り。築地本願寺。京都の西本願寺の別院なのだが、江戸期の建物が関東大震災で焼けたために、昭和九年に古代インド様式で建て直されたお寺。一見の価値は十分ある。記念写真も上手く取れば、「えー、インドに旅行したの?」と言われること間違いなし。
終わったら、築地場外市場へ。食事に関してはいろいろなガイドブックがあるので、それを参照してもらうとして、お土産は是非玉子焼きを買って欲しい。量もあるし、非常に美味しい。
さて築地コースはここからが本番。タップリ食べた後に、約2kmのお散歩だ。もう開かないかちどき橋を渡り、ひたすらまっすぐ進む。橋を渡ること3回。新交通システムゆりかもめが見えてくる。新豊洲の駅だ。それを右に500m進むと「市場前」。築地の次の市場と言われながらも、もめている「豊洲市場」に出る。観光地と化した市場から、メディアで叩かれまくっている問題の市場へ。いろいろなものがかなり隣接していることが分かるし、また見栄えはしないが時代の「旬」の景色が見られるのが東京だ。
次はゆりかもめに乗ろう。「市場前」から「新橋」へ。席のお勧めは、一番前か、一番後ろ。ゆりかもめは、無人運転なので、運転席に当たる一番前、もしくは一番後に、乗車席がある。これはかなり気持ちがいい。豊洲市場を俯瞰しながら出発。ビッグサイト、ビーナスフォート、大観覧車、フジテレビなどが次々見えてくる。そしてレインボーブリッジへ。残念ながら橋上では、左右を車線で挟まれるため、余り良くない。
いまだに東京は変わりつつあることを実感できるコースだ。
秋葉原コース 〜日本の一代特徴であるサブカルを肌で感じる〜
九段下駅から、都営新宿線 小川町駅で降りる。まずは「手打ちそば 神田まつや」に行こう。ここの蕎麦は滅法美味い上、店員さんの応対が気持ちいい。いつも混んでいる人気店だ。
蕎麦はちょっとモノ足らない人は、万世橋の袂にある「肉の万世」はどうだろうか? 値は張るが10階の「千代田」がお勧めだ。東京では名高い「肉の万世」なので味は保証付き。その上、景色がいい。秋葉原から上野へと伸びる中央通りを独り占めした様に思える景色は都市の風景として絶品だ。
そして向かうは、神田明神。江戸の総鎮守として名高い。元々、平安時代、朝廷に反逆、関東の独立自治を目指した平将門の怨霊の鎮めのために創建された。創建当時の位置は、大手町。現在の首塚があるところだ。大手町は高層ビルがひしめくビジネスエリア。そのビルの間に、今もひっそりと佇んでいる。占領中、GHQが取り壊そうとして祟りを受け事故に見舞われ諦めたと言われるいわく付きのエリアである。神田明神が大手町から現在の位置に移ったのは、江戸時代。家康の命に寄る。広重の「江戸百景」にも登場する名所だ。写真を撮るのもお勧めである。
青銅色の鳥居をくぐり、立派な随神門を通ると、御神殿が見える。色鮮やかなコンクリート造り。東京は江戸時代の大火、上野の戦火、関東大震災、東京大空襲を経ており、古くからの建物は少ない。色彩が鮮やかなこともびっくりするが、至るところにアニメのポスターが貼ってある。それも当然、ここはアニメ「ラブライブ」の聖地でもある。また昨年最終回を迎えた「こち亀」とのコラボもしており、まさにオタク街秋葉原にある神社に相応しい。また御神殿の横など散策すると「銭形平次の碑」など、いろいろなものがある。神社はいろいろなものが奉納されるため、いろいろな時代が積層している。
お参りを終えたら、聖橋から御茶ノ水へ。JRで東京へ戻るもよし、そのまま坂を下り、もう一つのオタクの聖地、古書の神保町を散策するも良しである。神保町はカレーの聖地とも呼ばれ、いろいろなカレーが楽しめる。
原宿コース 〜東京は、いろいろな文化のごった煮であることを感じる〜
九段下駅から半蔵門線で表参道駅へ。青山通りと表参道の交差点からスタート。銀座と1、2を争う目抜き通り。この街並みに慣れると、東京生活も板に付いたと言えるだろう。ここのJR原宿の駅にゆっくり移動して行こう。表参道ヒルズも悪くはないが、この当たり有名ブティックが軒を連ねており、服好きにはたまらない。通りから少し入ったところにもいい店が多くあり、散策の楽しみは尽きない。
この表参道を1kmほど歩くと、右手にJR原宿駅を見ながら、明治神宮への入口が見えてくる。明治神宮と言えば、初詣の人出ナンバー1の神社。注意したいのは祭神が明治天皇と昭憲皇太后ということである。天皇を神格化してお参りしていることは認識しておいて欲しい。それは置いておくとして、横綱推挙状授与、手数入り(土俵入り)などもここで行われる。今、人気絶頂の横綱 稀勢の里も明治神宮で土俵入りを行った。
広大な代々木の杜は非常にきれいで、整備されており、散策には持ってこい。この杜は、自然林を応用したモノではなく、人の手で作り出されたものである。カシ、シイ、クスノキの常緑広葉樹を中心とした構成はよく考えられている。東京は関東ローム層の上にあるため保水力が乏しく、スギのように多くの水を必要とする樹木は育ちにくい。杉並区の様に、「杉」が地名に付くのは、杉が珍しいからだ。ちなみに、東京都の木はイチョウ。武道館周辺のイチョウの木は大きく、紅葉するととても美しい。
お参りが終わると、原宿駅の竹下口から竹下通りへ。安価な洋服が並ぶこの通りは、古くからの原宿名物。1万円で上から下まで洋服を一式揃えることができる。明治通り側にくるとクレープの甘い香り。原宿で独特な発達を遂げた日本のクレープである。東京の大学だった人は思い出の香りかもしれない。立ち食いとなるが、お勧めの一品。
原宿にはもう一つお勧めグルメは「はっとり」である。八丈島料理屋だ。八丈島は歴とした東京都。クルマのナンバーは「品川」。小笠原列島まで有する東京都は実は47都道府県で最も有する海面積が多い。嘘のような本当の話だ。お勧めは「飛び魚」料理。飛び魚は太平洋ではメジャーな魚だ。またここは「クサヤ」も置いてある。臭い食べ物と言うとスウェーデンのシュールストレミングであるが、臭いを数値化したアラバスター単位で8070。くさやは1267。納豆は452。癖になる臭さであり、くさやは昭和30年代、東京庶民の常食魚の一つだったそうだ。ただ、この店、残念ながら夜しか開いていない。
お礼参りは是非
今回は、東京への挨拶を言うことで、有名神社仏閣があるエリアを中心に4つのコースを紹介したが、東京にはいろいろな面があり、楽しもうと思えば、いろいろ楽しめる。さて、最後のアドバイスは、願解きである。受験勉強の時、合格祈願をしたと思うが、その時の御礼報告を神様にして欲しい。次の願を掛けるためにも、けじめを付けることをお勧めする。
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