世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月24日

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 この論説でイグネイシャスは、いまや地上での商業活動、軍事行動は衛星のネットワークで維持されているが、攻撃、特に電子攻撃に極めて弱く、宇宙は戦場になる恐れがある、その対策として、宇宙関係者の間のデータの共有は不十分で、まず宇宙関係者は話し合うべきである、と言っています。

世界の衛星産業の収入はこの10年間で2.3倍

 宇宙の商業利用はGPSをはじめ近年著しく拡大し、世界の衛星産業の収入はこの10年間で2.3倍に達したと言われます。GPSは、交通、金融取引、個人ナビゲーションなど、いまや世界的な経済・社会インフラへと変化したといってよい存在です。

 他方でイグネイシャスの指摘を待つまでもなく、宇宙の軍事利用とその国際競争が進んでいます。米国ではGPS誘導弾、無人機の誘導など衛星通信の多用といった宇宙の軍事利用が進み、ロシアや中国なども宇宙の軍事利用に力を入れています。

 このような状況の下で、宇宙が戦場となる危険性が増しています。宇宙の重要性から言って、宇宙を制する者が世界を制するといっても過言ではなく、米国はじめ主要国は宇宙での軍事能力の強化に努めていますが、宇宙を戦場としないことが、地上での紛争防止とともに、あるいはそれ以上に重要です。そのため関係国は、新たな国際ルールの策定をはじめどのような対策を取るべきかにつき、真剣に検討すべきでしょう。

 宇宙は我が国の安全保障にとっても極めて重要です。2008年に成立した宇宙基本法に基づき、情報収集、警戒監視、情報通信などの分野における、宇宙の効率的利用に一層努めるとともに、宇宙に関する日米協力の充実に努めるべきです。

  
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