2024年4月26日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2017年4月24日

モノの需給逼迫によるインフレ圧力も強まる見込み

 今ひとつ、モノの供給が労働力不足で制約されて、需給関係が引き締まり、価格に上昇圧力がかかる可能性もあります。昨今の日本経済の状況からすると、需要がそれほど強くないので、需給関係の逼迫からインフレになるとしても、たいしたことはなさそうですが、賃金上昇との相乗効果でインフレが進むとすると、安心はできません。

 労働力が不足すると、輸入できる財は別として、サービスなどは需給ギャップが逆転し、需要超過による値上がり圧力がかかるようになります。現在のインフレ率が低いからと安心していると、今後の推移を見誤るかも知れません。現在のインフレ率が低いのは、景気回復初期に特有の要因も影響しているからです。

 不況期には、設備も人も低稼働ですから、景気が回復を始めても、需要の回復に応じて速やかに供給を増やすことができます。しかも、稼働率を上げるだけですから、追加的なコストが不要です。材料費だけで製品が作れるのです。しかし、ある時から労働力が不足するようになり、残業が発生するようになります。そうなると、残業代が必要になりますし、生産量も大幅には増やせないので、需要超過となり、値上がり圧力が生じるのです。

 氷に熱を加えていくと、最初は氷が溶けるだけで温度は変化しませんが、氷が溶け終わると突然温度は上がりはじめ、水が沸騰すると突然温度の上昇が止まります。経済活動も、似たような所がありますので、過去のデータだけに頼っていると危険です。

資産運用方針の大転換が必要

 これまで、長期にわたるデフレの時代、資産は銀行に預けておけば良かったので、資産運用について真剣に学ぶインセンティブは決して大きくありませんでした。しかし、これからは違います。老後資金を黙って銀行に預けておくだけでは、老後の生活が守れない可能性が高まりつつあるのです。

 株や外貨はインフレには強いが、値下がりリスクがあるので持ちたくない、という人は多いと思います。しかし、これからは現金もインフレによる目減りリスクがありますから、同様に危険なのです。そこで、株や外貨や現金などをバランス良く持つ「分散投資」を検討する必要が出てくるわけです。


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