2024年11月25日(月)

前向きに読み解く経済の裏側

2017年4月24日

企業にとっても、労働力不足は必ずしも災難ではない

 企業経営者は、労働力不足と聞くと、困ったことだと考えるかもしれませんが、そうとも限りません。ライバルも同様に労働力不足に悩んでいるということは、たとえばこれまで低賃金を武器に安売り競争をしかけてきたライバルが、安売りをやめるかも知れません。

 宅配便の即日配達競争を繰り広げていた業界が、労働力不足を契機として3日に1度の配達になるかも知れません。ライバルも3日に1度の配達なら、客を失うこともなく、単にコストが下がるだけですから、各社の経営はむしろ改善するかも知れません。

 また、環境の変化はライバルに打ち勝つチャンスとも言えます。ライバルより早く省力化投資を行えば、競争力が増すかも知れません。社員を大切にして離職率を下げれば、それだけでライバルより優位に立てるかも知れません。

 長期的な戦略としては、1日4時間しか働けない高齢者や子育て中の女性を雇ってみることも、有益かもしれません。将来は、そうした人々が貴重な戦力になると思われるので、今のうちから準備をしておく、という意味です。就業規則なども整備しておく必要があるでしょうし、周囲の社員との関係も考えて、様々な対策を今のうちから検討しておくことが、将来きっと役に立つでしょう。

 経済対策も、従来型の公共投資ではなく、労働力不足を悪化させずに経済を活性化していく政策が必要になってくるでしょう。筆者としては、保育園の無料化等々の子育て支援を考えていますが、そのあたりの話は別の機会に。

  
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