2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月16日

 「a bull in a china shop」という言葉がありますが、瀬戸物屋に雄牛が闖入し、暴れ回っては迷惑だという意味です。イグネイシャスは、トランプという雄牛には出て行ってもらう必要があると述べています。トランプには大統領を退いてもらう必要があるといっているのかも知れません。

いつまでこの政権に我慢するつもりか

 米国民は何時までこの政権に我慢するつもりかが問われる状況になりつつあるように見えます。ニューヨーク・タイムズ紙のトム・フリードマンは、ウォーターゲートの時のように、トランプの権力濫用に立ち向かう共和党議員はいるかと問い、答えはNOだと匙を投げ、2018年の議会選挙で民主党ないし無所属が共和党多数をひっくり返すしかないと書いています。マクマスターは大統領を擁護しようとして長い年月をかけて得た彼の名誉を台無しにしたなどと書いて、遅くならないうちにトランプの周りの人間は逃げ出した方が良いと早々と書く向きがあります。大統領の最小限のブレーキ装置がはずれることは、それはそれで迷惑なことではあります。

 文芸春秋の3月号に脳科学者の中野信子という人がトランプについて書いています。中野氏によれば、トランプは脳科学者にとって興味深い研究対象であるそうですが、彼は「サイコパス」だといいます。「サイコパス(織田信長が日本人の典型例だという)」の最大の特徴は、冷酷な合理性にありますが、弱みもあって、飽きて投げ出す傾向があるといいます。中野氏は「サイコパスには飽きっぽい人が多く、長期的な人間関係を築くことができません。また、利害のみが物事の判断基準となっているため、大統領職が『自分の価値を発揮できない』、『メリットがない』と判断すれば躊躇なく辞任するでしょう」と書いています。そういうことがあるのかも知れません。

  
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