イランとカタールからも天然ガスを
フランスの多国籍エネルギー会社トタルは、7月3日中国国営企業、中国石油天然気集団(CNPC)、イラン企業と共同で、イラン沖にて天然ガス開発を進めると発表した。トタルが50.1%、CNPCが30%、イラン企業が19.9%の権益を持ち、2021年から日量5090万立法メートルのガス生産を開始する予定だ。
サウジアラビアなど4カ国が国交断絶したカタールでは、トタル、ロイヤルダッチ・シェル、エクソン・モービルの3社がLNG生産量の30%引き上げに協力したいと表明していると報道されている。
ロシア、米国に加え、さらに供給源を多様化する欧州企業の動きは、安全保障の基本は多様化であることを考えると当然のことだ。EU諸国は、一次エネルギーの多様化を進めている。原子力と再エネの比率も日本より高く自給率(原子力は長く使用可能なので自給率に含められる)も50%近くある。さらに、同一エネルギーの中でも供給源を多様化しようとしている。
自給率が6%の日本は、図‐4の通り原発の停止が影響し多様化が進んでおらず、エネルギー安全保障が極めて脆弱な状態にある。食料自給率が40%弱と低くても問題が発生したことがないから、エネルギー自給率6%でも大丈夫との乱暴な議論もあるが、間違いだ。食料は、多くの国で余剰がありお金があれば買える。エネルギーは生産を行っている国が限られ、お金があっても買えないこともある。そのため、欧州は政治的なリスクも頭におき、多様化を進めている。経済性も考慮しながら、日本の自給率向上策、供給源の多様化を進めなければ、国民生活と産業に安心感は得られない。
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