2024年4月30日(火)

Wedge REPORT

2010年8月31日

年金や医療費負担等、ますます広がる世代間の社会保障格差。
現役世代が退職するころには、社会保障費がもらえなくなるかもしれない・・・。今はまだ、まさかと思うような事態が、あと少しでやってくるかもしれない。
会社生活と並行し、健康寿命を考えた週末ライフを過ごすことをオススメする。

“あてにしない”生き方へシフトしよう

 『社会保障の不都合な真実』の著書がある鈴木亘学習院大学教授は、社会保障制度の積み立て方式への制度移行を進言しつつ、一方で、“国が何とかしてくれる”という考えをそろそろ捨てるべきだとも加える。「国にはもう頼れない、という考えをもつべきです。いまの制度を変えない限り、このシナリオには破綻が見えている。でも国はこのまま無理な制度を続けようとするでしょう。そんな現行制度下では、個人が預金を積み立てる余裕すらなくなってきます。」選挙のたびに政治家が叫ぶ「医療や福祉の充実」は、言うなれば人口の多い老人票を見込んでのもの。現役世代が老後を迎える頃には、その“充実”のツケが何倍にもなって返ってくる。

 もはや、国の社会保障をあてにしようなどとは思わないことだ。もっと言えば、思い切ってあきらめること。自分の生活は自衛して、国からの保障は、プラスアルファと考えたほうがいい。

 では、健康寿命を延ばすため、現役世代はいまから何ができるだろうか? 一例として、週末農業の取り組みを追った。

都会で流行中 週末農業で健康づくり

 「週末農業」をご存じだろうか。文字通り、平日は働いているごく普通のビジネスパーソンが、土日だけ農家気分を味わえるというもの。汗をかいて土を耕し種をまき、収穫を楽しみに野菜の手入れをする。いま、都内の貸し農園には予約が殺到し、ほとんどが高い倍率で抽選になるという。

 週末農業のよいところは、運動だけを目的にするのではないということ。土に触れ、植物のいのちに触れ、自分の食を考えることにもなる。病気を普段の摂生から防ぐという“未病”も、結局は毎日の養生からはじまるから、若いうちからはじめる健康づくりにはもってこいだ。

 練馬区の「みやもとファーム」(http://miyamotofarm.com/)は、台東区や文京区から通ってくる人もいるという人気の貸し農園。ここで行っている「野菜教室」は、一年間畑の一区画を借りて、十数種の野菜を作り続けることができる。料金は7万円(税別)。居住地域や年齢に制限はなく、ご近所さん同士のグループで申し込んでもOK。現在50名強の契約者があるという。道具はすべてそろっているし、年間で作付計画されている十数種の野菜の苗や種もすべて支給してくれる。更衣室もついているため、身一つでくればよい。何より育てる楽しさを学べ、有機野菜を自給できるようになる。値段は決して安いものではないが、一年の契約のあと、延長を希望する人も多いそうだ。

みやもとファームでは、青空の下、野菜づくりに勤しむことができる。家族連れにも好評で、裸足で畑を駆け回る子供も多いそう。都心で暮らす家族にはありがたい。

 とある日曜日、畑の世話に来ていた男性は、「ここを借りて5年目になりますが、畑仕事をする前にくらべて、ずいぶん血圧が下がりました。空の下で野菜を育てていると、ストレスフリーになる。きゅうりやナスは、家でたべきれないほどなりますから、家計にも貢献しています。ご近所におすそ分けすれば、話のきっかけにもなりますよ」と話してくれた。「無理して運動するよりも、よっぽど心身の健康を保つことができていますし」とも付け加える。


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