このビルを管理運営するJRビルオフィスの河合隆行アシスタントマネージャーは、「契約者は20~70代とたいへん幅広いです。お住まいは遠くだけれど、職場がこのあたりなので、会社帰りに世話をして帰るという方もいるんですよ」と話す。こちらも契約者同士の交流として収穫祭を行い、採った野菜をみんなで料理するという。ビジネスパーソンのほか、家庭の主婦も多い。ベランダでひとり家庭菜園をつくるより、みんなで野菜作りの話題を共有したほうが楽しい。
みやもとファームも「soradofarm」も、野菜をつくるだけではなく、日々の気持ちを健やかに保ち、あたらしい縁をつくることに貢献しているようだ。
健康寿命を意識した週末ライフを
週末農業だけではなく、健康づくりのためにはスポーツジムやスポーツサークルなど、たくさんの選択肢があるだろう。
けれども、いまから習う経験を自分のものにしたり、会社以外の縁を育てたりしたいなら、選ぶポイントは、週末ライフをその場限りのものにしないことだ。
選択のポイントは、働いている時間にあわせて融通がきき、仕事に無理が出ないこと、講習が丁寧で技術や知識を獲得できること、参加者同士が触れ合い会社とは違った縁がつくれる、といった点。
たとえば、週末農業だって、借りられる期限というものが決められており、その後は別の場所や自宅に場を移して行わなくてはならない。そうなったときに、教えてもらったことを自分ひとりで実践できたり、一緒に習った仲間と情報交換ができるような状態が望ましい。
病気になったら病院に行けばいいや、医療も発達しているからいいや、ではいけない。もし85歳まで生きれば、年間100万程度の介護・医療費がかかると言われている。つまり、生きながらえるほどにお金がかかる。寝たきりの長生きではなく、できるだけ医療・介護の厄介にならない生き方をするには、健康寿命を延ばすための自助努力をいまから始めることだ。
老後に絶望するくらいなら、いまから国に頼るという考え方をあきらめて、自分の生活を守ったほうがいい。毎日の摂生こそが、成人病を防ぎながら、体という資本を保つすべである。社会保障制度の崩壊に気づき始めた人はみな、一方では軸足を自衛に移し始めているのだ。
関連記事 :
30代からの“国に頼らない生き方”(1)財産
財政破綻から身を守るには
関連記事 :
30代からの“国に頼らない生き方”(3)地縁
「寝に帰る場所」から「暮らす場所へ」
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。