ほかにも、次から次へと契約者が畑にやってきて自分の区画にはいり、顔見知り同士で雑談をしながら手を動かしていた。
スタッフの花巻信さんによれば、「家族でお弁当を用意して畑に来て、畑仕事をし、1日あそんで帰るという人も多いですよ。年に2回、交流会も行っていて、採れた野菜をつかってバーベキューを行っています。みなさんご家族で参加されるから、お子さん同士が仲良くなったりして、新しい交流も生まれていますよ」。
みやもとファームでは、月に何度かの週末、講習会を開催してくれる。契約者は都合のあうときに講習に参加し、苗の植え方や芽かき(不必要な芽を除き、着花・着果や徒長の調整をおこなうこと)、病虫害防除の方法など、野菜づくりの基礎的な知識を学ぶ。
また、畑にはホワイトボードが置いてあり、いつでもスタッフと契約者が伝言板として確認できるようになっている。たとえば、「トウモロコシの1本に白い粉(害虫?)みたいなものがついています。対処方法を教えて下さい」と契約者が書き込めば、「たぶん虫の糞です。今のうちだと成虫になって、飛んでいくこともあるし、穴を竹串のようなもので探ると虫を駆除できることもあります。気になるようでしたら専用の殺虫剤があります…。農薬をかけてほしくない時はお知らせください。」と回答を書いておいてくれる。
契約者はいつ何時に来ても、自分の区画の野菜を世話したり、収穫したりすることができる。いまの季節ならきゅうりやトマト、ナスがそろそろ終わりを迎える。その横にはサトイモが葉を広げて、秋の収穫を待っていた。
プチ農業から始める人も
もっと手軽な菜園から、一歩を踏み出すこともできる。
都心のど真ん中、それもJR恵比寿駅の上に、農園があることをご存じだろうか。女性向けブランドショップや雑貨ショップの入る駅ビルを屋上まで登れば、観葉植物を植えた小さな庭園と、小さな畑が広がる。
この「soradofarm」(http://www.soradofarm.com/)は、3㎡の小さな区画から借りることができる。半年借りて4万6500円。区画サイズや栽培オプション(スタッフにどこまでの補助をお願いするか)によって料金は変わる。こんなに便利にアクセスできる農園は、ほかにない。
もともとは、事業主である東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が環境問題に対するCSRの一環として始めたもの。恵比寿のほか、JR戸田駅などJR東日本の所管内駅で、屋上緑化を展開中だ。
都心の屋上ということもあり、雨や強い風のときには閉園し、土の深度も30センチ程度なので、大きな根菜類は栽培しない。作ることができるのは、今の季節ならトマトやキュウリ、ナスのような家庭でよく使う野菜と、ハーブなど、初心者でも作りやすい野菜ばかり。