――最近の日本に関する検索で急上昇しているキーワードなどはありますか?
和田氏:美術館の名前などはよく検索されるようになってきているのでは、と感じます。大きな美術館よりも、むしろ小さくて個性的な美術館など、意外なところが検索されているようです。旅行が成熟化していく中で、すでに大きな観光地などは回り、もっと自分たちの趣味に合うものや、何かのメディアで見ておもしろそうだったところなど、知る人ぞ知るところに行ってみたい、という人も多いと思います。
しかし、中国人から検索されている側は、その事実をまったく知らない、ということがよくあります。ある時期、中国人観光客が押し寄せてびっくり、ということもあるかと思いますが、受け入れ準備が整っていないので、彼らの求めに応じられない、右往左往してしまう、ということもあるでしょう。せっかく検索してもらっても、受け入れ準備ができていないと、他へ流れてしまうなど、チャンスを逃すこともあり得ます。検索結果に対して最適な情報を提供していけることが望ましいと思います。
――自分たちが中国人に検索されているかどうか、どのようにしたらわかるのでしょうか?
和田氏:先ほども申し上げましたが、自社や自社ブランドの中国語の名称で、百度で検索してみることがいいと思います。検索してみて、まったくヒットしないかもしれませんし、意外と上のほうに出ているかもしれません。キーワードでリスティング広告を出稿している競合の情報が表示されるかもしれません。その検索結果によって、自分たちの「立ち位置」がわかると思います。「百度指数」というツールがあるのですが、ある程度のボリュームがあれば、これでトレンドをチェックすることができ、そこで表示されたグラフを使って分析をすることができます。このツールを使って「大阪旅行」(中国語で大阪旅游)を調べてみると、2012年に急激に大阪に行った観光客が増えたことがわかります。このような方法で、少なくとも半年、あるいは1年という少し長いスパンで、自社や自社ブランドが中国人にどのように検索され、注目されているのかをチェックすることができ、対策を立てることができると思います。
――客観的に分析することが大切なのですね。
和田氏:その通りです。検索はあくまでも相手がそこに興味を持つから行う行為であって、逆の立場になって考えなければいけません。また、自社のサイトを作るときにも、中国語(大陸で使われている簡体字)で用意する必要があります。何を訴えたいのか、どういう層に見てほしいのか、を明確にして作ることが必要です。受け皿をしっかり作っておけば、検索されて、訪れてきてくれたときにも対応ができます。中国人観光客というと、国慶節や春節に注目が集まりがちですが、現在では年間を通じてやってきます。
広告出稿はひとつの手段です。まずは、会社としての中国向けデジタルマーケティングやインバウンドの戦略を立て、百度をご活用いただきながら、目標に向けた獲得やブランド認知施策に、長期的に取り組んでいただければと思います。
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