2023年12月8日(金)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年11月7日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

最も健康に悪い生活習慣は喫煙。では2番目は?

  「健康に一番悪い生活習慣は?」と問われれば、10人中8~9人は喫煙と答えるだろう。では、2番目は?

 カロリーのとりすぎや肥満? 飲みすぎ? 運動不足? 睡眠不足? バランスの悪い食事? ストレス? 朝食抜き? このいずれでもない。正解は食塩(ナトリウム)の過剰摂取。

(iStock/logoff)

 これは筆者の憶測ではない。2011年に開催された国連の学識者会議における結論である【※1】。肥満や不健康な食事や運動不足、有害な飲酒、冠動脈(心血管)疾患のリスクの低下などを抑えての「堂々の第2位」に食塩の過剰摂取が入った。これは国際会議での結果だが、日本人は先進国の中でもとりわけ食塩摂取量の多い国民なので、さらに注意が必要になるだろう。

 私たちの舌は「身体にいいもの(必要な成分)」をおいしいと感ずるように進化してきた。なので、基本的には、「おいしい物は身体にいい」と考えてよい。言い換えれば「自分の舌を信じて(本能のままに)食べていれば、健康になれる」はずだ。食塩についてもそれはいえるだろう。食塩(中のナトリウム)は体液(血液など)の濃度を一定に保つためになくてはならない成分だ。

 しかし陸上には食塩はめったに存在しない(海は食塩だらけだが)。そのため、私たちヒト(という生物)は「塩を見つけたらとにかく口にする」という習慣を身につけた(舌を頼りにして)。ただし、人工的にこんなに簡単に食塩が手に入る世界が訪れようなどとは夢にも思わなかったに違いない。本能に任せていると、ヒトは必ず食塩の過剰摂取に陥る。

 とはいえ、多くの人は、食塩含有量の少ない(つまり薄味の)食べ物よりも濃い味(食塩含有量の多い)の食べ物のほうをおいしく感ずる。ほとんどの外食店では、お客さんの健康よりも売り上げを優先するので、外食店の食べ物は必然的に濃い味になる、つまり、外食が続くと食塩摂取量は増える。何よりも、外食が続くと「濃い味」を「普通の味」と認識するため、「普通の味」を「薄味でおいしくない味」と感ずるようになる。

 食塩摂取量を減らすコツの1つは「外食の味」に慣れてしまわないこと(ビジネスパーソンに外食を減らせといっても無理だろうから)。

【※1】The UN High-level Meeting on Non-Communicable in September,2011


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