2024年4月25日(木)

赤坂英一の野球丸

2017年11月22日

 その失敗を繰り返すまいとしてか、今年の日本シリーズでは、非常に入念なビデオ判定が行われた。10月29日の第2戦、1−3と2点ビハインドだった七回、ソフトバンク・今宮健太が逆転の4点目となるホームイン。これがいったんはアウトと判定されながら、リプレー検証の結果、セーフに覆ったのだ。

 この再生映像も中継テレビ局によって何度も流されたが、ホームベースにタッチしたのは今宮の手が先か、DeNAの捕手・戸柱恭孝のミットが先か、非常に微妙な映像ばかり。解説していた元捕手で元ベイスターズ監督・大矢明彦氏は「アウトです」と断言していたほど。それでも、橘高淳・責任審判は「何枚もの映像を見て、セーフと決定づける映像が出てきたから」として最終判断を下した。

想像以上の技術、体力、精神力を必要とされる仕事

 そのジャッジには敬意を表したいが、リプレー検証に約7分間かかっている。来年から施行される新ルールでは「5分以内」に判定を下さなければならないから、また同じようなケースが発生したらアウトのままになるのか、気になるところだ。

 リクエスト制度が導入されてからも、ジャッジをするのは審判であり、常に正確な判定が求められることに変わりはない。元審判で、NPB審判技術委員・山崎夏生氏の著書『プロ野球審判 ジャッジの舞台裏』(北海道新聞社)を読むと、この仕事がいかに想像以上の技術、体力、精神力を必要とされているかがよくわかる。テレビ局の再生映像を活用するのも結構だが、こういう苦労多き審判たちが毎年表彰されている「ファインジャッジ賞」のリプレーを多くのファンが見られる機会を設けられないものだろうか。

  
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