2024年11月25日(月)

東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年12月31日

 例えばポケモンで、劇場まで行かないと、新しいキャラクターをゲームコンソールに取り込めませんっていう話(本連載2010年5月12日参照)、あれも苦労が多そうですね。

 劇場側の抵抗が大きかったなんていう話聞くと、いったいお客さん集めたいの、集めたくないのって聞きたくなりますけど。

受賞、海外展開・・・評価への意欲もある

浜野 国内に言いたいことが一杯ある亀山さんに、話を換えてもうしわけないけど、海外挑戦はどうですか。映画人なら有名な賞、それから海外進出。この2つはみんな目指すものだけど。

亀山 海外に、賞ですか。諦めてますね(笑)。狙いに行ったからってもらえるもんじゃないですし。

浜野 周防正行監督の「それでもボクはやってない」は狙わなかったんですか。

亀山 狙ってないですね。狙う作品としちゃ、2009年の「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」だったかもしれないですけど。

 つまりひとつの動機付けとしてね。なぜいま太宰なのっていったら、監督の根岸吉太郎さんの演出力を見せるというのがひとつ。それから松たか子さん。平成の女優なのに、濃厚な昭和の臭いが出せる女優の演技力だったりね。そういうものに、興収とは別の評価を得たいって気持ちはありますよね。その先に、もし賞があったら、興収もついてくるだろうって。

 あと、海外市場ですか。諦めてるなんて言いましたが、もしビジネスチャンスが広がる場所なら、それは追い求めるべきですよ。

 でも、配役は日本人ばかり。それが日本語でしゃべっているって映画が正直なところ日本の外でそんなに見られるとは思えないんです。

 だからもし海外展開を突き詰めて考えるのなら、言葉は英語、配役も日本人は1人か2人、それで外国人監督が撮った日本製作映画、ってパターンでしょうね。

 もしかしたら日本マーケットでは売れなくていいという割り切りのもとにつくられる輸出向け商品なのかもしれない。

 でも、そんな企図に乗ってくれるハリウッド系スタジオは、まず皆無でしょう。だとしたら、無国籍アジア風テイスト映画を、北米在住アジア系アメリカ人あたりを主たるターゲットにしてつくる映画を、僕らがやるかどうかってところです。

 「レッドクリフ」(2008年)はその路線ですよね。ここにはいつか参入してみたいと思う。


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