2024年12月9日(月)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年5月20日

(2017.2.25~4.26 61日間 総費用13万2000円〈航空券含む〉)

カトマンズには語学学校とビザ取得代理店が雨後の筍のごとく

 峠を越えてカトマンズの中心部に近づくと、やたらと語学学校とビザ取得代行の看板が目に付く。語学学校は英会話スクールが大半であるが、中には日本語・トルコ語・韓国語などもある。

 ビザとは就労ビザを指しているようで、“ヨーロッパで働こう”“日本での就労お任せください”みたいな英語のキャッチ・コピーが並んでいる。“ヨーロッパで働こう”の看板の下には“トルコ、ポーランドのビザ手配”とある。トルコやポーランドは外国人労働者にとりビザ取得が容易なのであろうか。

ポカラ近郊の山村では村人総出で道路工事。重機はなく全て人手である

ネパール人の日本での就労ビザ手数料は100万円以上!?

 4月10日。ナガルコットの眺めの良いゲストハウスで相部屋になったのは70歳の元中華料理のコックのHさん。Hさんは仕事を辞めてから、ネパールに魅せられて毎年ネパールで数カ月過ごしている。

 Hさんは昵懇のネパール人男性Y氏の家で一週間過ごす計画という。Y氏が来て雑談していたらY氏は数カ月後に日本に出稼ぎに行くためにビザを申請中という。Y氏はがっしりした体格であり、日本ではネパール料理店でコックをするという。

何かのお祝い事であろうか。家族総出で羊を解体していた

 Y氏によるとエージェントに支払った金額は1万2000ドル(当時のレートで140万円相当)。しかし1万~1万5000ドルが日本の就労ビザの相場なので1万2000ドルは妥当らしい。どんな仕組みなのかY氏も知らないというが、べら棒に不当な裏金が動いているのだろうか。

 Y氏によると、日本で数年働けばネパールで立派なマンションが建てられるという。日本は彼らにとって“黄金の国ジパング”らしい。ちなみに2017年6月時点の日本政府統計では在日ネパール人は7万4000人。

 参考までに同時期の在日外国人は総計247万人である。多い順に並べると中国71万人、韓国45万人、フィリピン25万人、ベトナム23万人、ブラジル18万人である。やはりアジアが圧倒的に多い。

ダルバール広場で客待ちしているリキショー(力車)。1日の稼ぎは数百円程度である

出稼ぎ大国のネパール

 カトマンズの宿屋のマネージャーが「ネパール人の10人に1人が外国で出稼ぎ労働者として働いている」と話していたことを思い出した。ネパールの日本大使館情報では2012年に新規出国した出稼ぎ労働者は36万人。同年度の出稼ぎ労働者による海外からの外貨送金はネパールのGDPの23%を占めるという。出稼ぎ労働者の送金が滞ると国家経済が破綻するという構図である。

ナガルコットのゲストハウスのテラスからヒマラヤを眺望

 2017年時点でネパールの人口は2920万人で過去20年間に700万人も増加している。おそらく2017年の新規出国出稼ぎ労働者は50万人を越えているのではないか。1人平均5年海外に滞在していると仮定すれば、現時点で250万人以上が出稼ぎ労働者として海外に滞在している計算だ。10人に1人が出稼ぎ労働者という話はかなり事実に近いと思われる。


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