ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2018年6月1日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

愛情と安全は別。冷静な対応を!

たとえばあなたは調理をするときに、結婚指輪を外すだろうか?
指輪の下(指輪と皮膚の間)は食中毒菌の格好のすみかだといわれている。
指輪をしたままで、あるいはビニール手袋を着用しないままで作った料理には、食中毒菌がついてしまうことが多い。
でも、必ずしも食中毒が起こるわけではない。
それは、家庭料理では、調理してから食べるまでの時間が短いからだ。
料理についている食中毒菌の数がそれほど多くならないうちに食べるから。

家庭で作った料理でも、食べるまでに時間のかかる物、たとえばお弁当やおむすびなどでは、口に入るまでに食中毒菌がかなり増殖してしまう。
これから夏場にかけて、家庭で作ったおむすびの食中毒が増えてくる。

ときどき「コンビニのおむすびがいつまでも腐らないのは健康に悪いくらいクスリを使ってあるからだ。その証拠にお母さんが作ったおむすびはすぐに悪くなる」という人があるが、あれは勘違い。
コンビニのおむすびのほうが(愛情のあるなしは別にして)お母さんが作ったおむすびよりも清潔に管理して作ってあるために細菌数が少ないから腐りにくいのだ。
おむすびを握るときには指輪を外すか、ビニール手袋を着用すべきだ。

同様に、よく批判されるのが大手メーカー製のパン。
「家庭で作ったパンはすぐにカビが生えるのに、大手メーカー製のパンにカビが生えないのは、大量の添加物が入っているから」という人があるが、あれも勘違い。
家庭で作ったパンのほうが(保存料を使わないということもあるが)大体の場合、できあがったパンについている細菌数が多いために、時間がたつとカビてくると考えるほうがいい。

筆者は、コンビニや大手食品会社を擁護しているのではない。
“食べ物”としては、他人が作ったものよりは家族が作ったもののほうが好ましいと思う。
しかし、そのことを強調するがあまり、「コンビニのおむすびや大手メーカー製のパンはキケンだ」という非科学的な判断をすべきではない。
それがすぎると、家庭内に潜むリスクを過小評価することにつながり、食中毒対策などがおろそかになるキケンがある。

家の中には、食中毒菌があふれていると考えよう。
けっして油断することなく、「食中毒菌を食品につけない・食品についても増やさない・原因をやっつける」という食中毒予防の三原則を確実に守るようにしよう。
手始めに、まずは「手洗い」から!

  
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