2024年12月7日(土)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年6月8日

 食中毒の患者(被害者)は、子供・高齢者・病人といった「健康弱者」に多い。働き盛りのビジネスパーソンにはあまり関係がないと思っているかもしれないが、油断するが故に陥りやすい落とし穴もある。

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夏期も冬期も食中毒は発生する

 昔から6月に入ると「食中毒の時期到来」と話題になる。たしかに、かつては、気温も湿度も高くなる6月くらいから食中毒が増え、涼しくなる10月を過ぎるまでは高い発生率が続いていた。衛生環境が整っていない時代には、高温多湿の日本では、この時期に食中毒が多発することは避けられなかったであろう。

 しかし、冷蔵庫が普及し、流通システムが発達し、保存料などが開発され、食品の安全性に関する環境が整ってきてからは、とりわけ夏場に食中毒が多発するという強い傾向は見られなくなった。このところ、毎年大きな話題となるノロウイルスによる食中毒は、12月がピークとなる。

 一般的に、食中毒は原因から見て、大きく3つに分類することができる。

1:細菌を原因とする食中毒
2:ウイルスを原因とする食中毒
3:その他(自然毒や寄生虫や化学物質など)

 1の細菌には、サルモネラ属菌、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがある。これらは「生物」なので、水分が多く(湿度が高く)、生育に適正な温度がある夏場に多く発生する。一方で、2のウイルス(ノロウイルスなど)は、厳密にいうと「生物」ではないので、生育に適正な気候条件とは関わりがないために、夏場に多く発生するわけではない。むしろ、体温の低下でヒトの抵抗力が下がったり、カキなどの貝類を食べる機会が増えたりという「食べる側の都合」によって、冬期に多く発生すると考えられている。

 これらの内容について詳細を知りたい人は厚生労働省の報告【※1】を見てほしい。


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