青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2018年6月20日

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ホテルの業務をAIロボットに任せたい!

 私は中国市場に適したホテルインテリジェントシステム開発のために、上海大学及び中国のビジネスホテルの最大手グループ3社のと協力して、上海立名智能科技有限公司 という会社を設立しました。ここで実用化された技術が3つあります。

インテリジェンスロボット

 まず最初はロボットによる顔認証技術を使ったホテルフロントの受付機能です。中国ではチェックインの際に誰でも身分証明書を提示する必要があります。提示された身分証をデータベースと照合しなければチェックインできません。認証後には部屋のタイプと価格を選んで、どの空室がいいのかを選択、チェックイン情報とサービス項目を確認して、スマホで精算してキーとレシートを受け取るという流れを自動化したシステムです。2番目は、自動運転技術を活用した宿泊客を選択した部屋まで案内するロボットです。そして、3番目は音声認識で、部屋のカーテンの開閉から、ロボットによるルームサービスまで音声で命令できるシステムです。1番目のシステムは、すでに錦江酒店、漢庭酒店、林豪泰酒店、如家酒店などに導入されています。2018年中に1000個所以上に導入される予定です。

 中国ではAIという文字の意味を理解していない人は多いと思いますが、AI=人工知能であることはかなり認知されているはずです。中国はAIに関して最初は何もなかったのですが、もっと豊かな生活をしたいとう人々の強い思いに後押しされて、急速にAI化が進んでいます。完全にレジが無人のコンビニなども登場して、当たり前のように買い物をする中国人の姿が見られます。最も多くの人に影響を与えているのが空港のシステムです。例えば上海から北京までのフライトは1時間半ぐらいですが、セキュリティチェックに1時間かかるため空港に1時間前に行く必要があります。これだと結局、新幹線に乗った方が早いということになります。これを解決するのがAIです。

 そのベースになっているのが上海大学の基礎研究で、すでに国から援助を受けて40年間研究を続けています。これで公共機関向けのシステムを開発して、その上で商業的に使える物を作り出していきます。例えばホテルの受付システムなら、上海大学と協力して国に援助を申し込みます。国にはそれを審査する専門機関があります。認証されれば予算が出ます。民間企業で同じ開発をやろうとすると5~6年かかりますが、これでは遅すぎます。他の企業にとられてマーケットがなくなってしまいます。産学共同でこれにあたっています。 

ホテルの空室と交換でシステムを納入

 私がホテルにAIを使ったチェックインシステムを導入した方法は、使用料を支払ってもらうのではなく、そのホテルの空室の権利をもらうとい方法でした。どんなに稼働率の高いホテルでも空室がゼロにはなりません。埋まらなかった部屋は必ず出ます。我々はその空室の権利をOTA(Online Travel Agent)に譲ります。彼らはホテルの空室を欲しがっていますが、直接ホテルから空室を提供されることはまずありません。そこで私が作ったのが、このプラットフォームです。ホテル側からの新たな出費はなく、ホテル管理システムのおかげで人件費を2人分節約できます。我々はOTAから現金が受け取れるWinWinのビジネスモデルです。日本のホテルからのオファーもあり、日本でのマーケット開拓も考えいています。昨年は730万人の中国人が来日しています。これを見逃す手はありませんね。また、中国は日本の10倍のニーズがあります。もし日本で素晴らしいシステムを開発したら、恐れず中国でのビジネス展開を検討してみてください。中国でも必ず応用できます。

  
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