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2011年4月13日

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私市正年 (きさいち・まさとし)

上智大学外国語学部・アジア文化研究所教授。
北海道大学文学部卒業、東京都立大学経済学部中退、中央大学大学院博士課程修了。モロッコ・ムハンマド5世大学、エジプト・イブンハルドゥーン研究センター、フランス・エクサンプロパンスIREMAM(地中海アラブ・ムスリム研究センター)、アルジェ大学CREAD(応用開発経済研究センター)などで研究に従事。
専門は、歴史学、マグリブ・アラブ地域研究。
主な著書に、『北アフリカ・イスラーム主義運動の歴史』(白水社、2004)、『マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝 』(山川出版社、2009)、『アルジェリアを知るための62章』(明石書店、2009)、共編著に『イスラーム地域の民衆運動と民主化』(東京大学出版会、2004)など。

 もう一つ、政治改革で重要なのが選挙法の改革をどう進めるかである。ムバザア大統領は2月3日の会見で「革命の目標・政治改革・民主的移行実現のための高等機関」(代表ベン・アシュール)を創設し、選挙の実施方法や選挙法の改革を審議する、と述べたが、議会選挙や大統領選挙が民主的に行われるために審議の行方が注目される。なおこの機関のメンバーは、各政党(12政党)から3名ずつ計36名、全18の市民団体・協会から数名ずつ、個人60名、総勢150名から構成されている。

 大きな政治変革は経済の停滞や社会不安をもたらす。チュニジアでは1月の政変後、頼みの観光客が激減し、いまだ観光地は閑古鳥が鳴いている状態である。他方でリビアからの難民がチュニジアに押し寄せ、その数は10万人以上と見られている。チュニジア国境を越えて避難する人のための仮設シェルターが設営され、1万人以上の難民が収容されている。

 また、チュニジアから船でイタリアに渡る「不法難民」、いわゆるハッラーガも増え、政治・社会問題になっている。イタリア政府の公式声明によれば、1月15日以降、地中海に浮かぶイタリア領の小島ランペドゥーサ島には2万3000人の不法移民が流入した。4月4日ベルルスコーニ首相がチュニジアを訪問し、チュニジア移民に対し、6ヶ月間有効の「臨時人道的ビザ」を発給する、と述べたが、この措置はそれを過ぎれば不法難民をチュニジアに送還する意図を示したものである。

新しい政治勢力

 では今後の政治を運営していく政党、政治勢力はなんなのか。実はこの展望はまだはっきりしない。RCDは実質的に解党したと(仮定)しても、あれほどの強大な勢力(人口1000万人の内、党員175万人、下院214議席の内、161議席)を誇ったRCDがどこに行ったのか、見えない。合法政党の数は革命前の9から、49政党に急増した。各政党とも法的承認をすませただけでめだった政治運動は行っていない。

 2月実施された世論調査(国営TAP通信)で大統領選挙が行われた場合、誰に投票してよいかわからない、と答えた者が4分の3を占めたという。その状況は今も変わらないだろう。

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