モンゴルのお酒事情
先ずはビールであるが、10種類くらいの国産ビールがある。ハイネケン、タイガーや韓国ビールなど輸入ビールも全国どこでも売られている。アルコール度数4.2°~5.4°くらいのビールが主流であるが7°~9°というロシア的ストロング系も多い。
問題はサイズである。サイズは日本でお馴染みの350ml、500mlもあるが、2L、3Lというデカ・ボトルが陳列棚の下のほうを占めている。やはりモンゴル男性は体格が大きいのでボリュームが必要なのだろうか。
次がワインである。国産のPORTAという甘いワインもあるが、数量的には圧倒的に輸入ワインである。原産国は旧共産圏が半分以上である。有名なワイン産地であるアルメニア、グルジアの他、ブルガリア、ルーマニアなど日本では余り馴染みのない産地のワインが並ぶ。これらは値段的に手頃(500円程度)で上質なものが多くお得感がある。
他方でフランス、イタリア等は高級品扱いで数千円以上。オーストラリア、チリ、アルゼンチンなどは同じブランドで比較すると日本国内より30%~50%は割高。こうして旧共産圏産上質ワインを日々いただくことになった。
最後は真打のウオッカである。デパート、スーパー、リカーショップ、雑貨屋とどこに行っても売場面積で最大シェアを占めているのがウオッカである。ロシア、ポーランド、フィンランドなどの輸入物は値段的にかなり割高なので庶民は国産ウオッカである。
38°~42°で760ml、1000mlのボトルが定番である。これをコップで生のままで呷るというロシア的スタイルだ。モンゴル人は親露的であるが、ウオッカの飲み方を見ていると納得できる。昼間から男同士でウオッカを呷るのは日常光景である。
バングラデッシュの悲劇の後で
9月某日。ウランバートルの定宿でオーナー氏と酒盛りをしていたら、TVのNHKワールドでバングラデッシュでの邦人テロ事件の検証番組が始まった。英語番組なのでオーナー氏も興味を持って見ていた。邦人もテロの対象となる無差別テロが横行するようでは、益々日本の若者の海外旅行離れは加速するとオーナー氏は嘆息した。
「たしかに海外旅行にはリスクが伴うが、人生何をしてもリスクは付き物であろう。リスクを恐れて生きても無味乾燥な人生ではないか」とオジサンが言えば、「そのとおり」とオーナー氏も気合が入る。こうして深夜まで酒盛りが続き、翌朝はややhangover。
ほかに宿泊客がおらず、朝からオーナー氏はビールとウオッカの瓶を取り出してオジサンと二人で迎え酒。そこへ突然奥さんが現れてオーナー氏は散々叱られる羽目に。オジサンも同罪なので奥さんの顔をまともに見られず、下を向いて恐縮していた次第。
洋の東西を問わず、酒飲みにとっては奥さんが一番怖い存在である。
⇒第6回に続く
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