2022年8月18日(木)

Wedge REPORT

2018年7月26日

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マンションの終末処理

 老朽化したマンションを1万戸以上抱える東京都では、周辺の建物との共同化による建て替えで容積率を緩和する方針などを打ち出している。さらに東京都の小池百合子知事は6月の都議会での所信表明で、老朽マンションについて条例化も含めて対策を取る考えを表明した。

 具体的には、管理組合などを対象に、これまで必要のなかったマンションの管理状況などの報告を義務付けるのが柱で、修繕積立金の状況や大規模修の有無、耐震診断の結果や空き家住宅の割合などを報告させるとみられている。都内には約5万3000棟の分譲マンションがあるが、1983年以前に建設されたマンションについて報告を義務化する方針のようで、全国の自治体に先駆けて老朽化対策に取り組む考えだ。

 『限界マンション』の抱えている問題点を踏まえた上で米山氏は、

 「マンションの終末処理においては、今後は、現行の建て替え規定に加えて、区分所有権を円滑に解消するための規定を設けることが、現実問題として必要になってくる。これからは、区分所有権は制約を受ける弱い財産権であるという、認識を持つことがより一層必要になる」

 とマンションという財産権の制限にまで言及する。日本人はマンションの購入を「一生で最高の買い物」と考えている人が多く、その財産は手放したくないと思っている住民が多いだろう。そうした住民を説得するのは一朝一夕にはできない。

 米山氏は、

 「マンションの終末期にまつわる問題は、マンションという居住形態が生み出された当初から、いずれ爆発する時限爆弾として組み込まれていた問題でもある。現状では時限爆弾の存在は徐々に認識され始めてはいるが、それに対する抜本的な対策は講じられていない」と話す。

  
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