ナイターは金がかかるからできない?
そうした中、近来にない画期的な暑さ対策を示したのが京都府高野連である。最高気温が39℃まで上昇した7月23日、鳥羽-立命館宇治戦の試合開始時間を午後4時から午後7時1分に変更、思い切ってナイターにしたのだ。試合中、9時になると場内アナウンスで「保護者、引率者のいない小中学生は球場から出てください」と年少者に帰宅を促し、10時以降はプロ野球と同様に鳴り物入りの応援を禁止している。
延長十一回までもつれた末、立命館宇治が6-5で勝利を収めたのは10時37分。里井祥吾監督は「日中の試合だったら、(選手が)倒れているだろう」と府高野連の配慮に感謝しながらも、試合開始が3時間も遅れたことで「コンディションの調整が難しかった」と困惑を隠さなかった。
それなら、甲子園では最初からナイター枠を設けたらどうか、と大会やテレビ局の関係者に聞いてみると、「照明などの費用が高くつき過ぎるので現実的ではない」という答えが返ってきた。事はゼニカネではなく、高校生たちの健康、ひいては命にかかわる問題だと思うのだが。
高野連が暑さ対策に手をこまねいているとは言わない。開会式での給水タイムのほか、試合中にも休憩や給水の時間を取れるようにするなど様々な改革案を打ち出し、開会期間中にもさらなる対策を追加する予定。それが一つでも奏功することを祈るばかりだ。
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