2024年12月22日(日)

田部康喜のTV読本

2018年7月25日

 青春ドラマは、若者たちだけのものではない。胸を締めつけられるような哀しみと、躍動する喜び。青春の思い出は、年を重ねるにつれて、昨日のことのようによみがえる。ドラマと映画が過去に引き戻すのである。

(IPGGutenbergUKLtd/iStock/Getty Images Plus)

 TBS「チア☆ダン」(金曜夜10時)は、チアダンス部の女子高校生たちが全米チアダンス選手権の制覇を目指す物語である。広瀬すず主演の同名のヒット映画(2017年、河合勇人監督)が描いた設定から9年後が、ドラマの舞台である。福井商業高校のチアダンス部が国内大会を勝ち抜いて、全米選手権に招待されトップに輝いた実話に基づいている。

 福井商業のチーム名「JETS」は、そのままに映画もドラマも、高校名は福井中央高校となっている。姉が「JETS」の全米制覇のチームの一員だったことから、中央高校を目指した藤谷わかば(土屋太鳳)は、学力不足から福井西高校に入学。チアダンス部がないことから、チアリーダー部に所属して2年生の1学期を迎えていた。

 夢をあきらめていた、わかばに転校生でチアダンスの経験がある、桐生汐里(石井杏奈)がチアダンス部を作って「JETS」を打倒して、全米選手権を制覇しようと強引に誘う。

 新しい部をつくるためには、8人の部員が必要である。わかば(土屋)と汐里(石井)は自分たちも含めて6人までメンバーを集めた。

 新任の地理歴史教師の漆戸太郎(オダギリジョー)をふたりは巻き込んで、顧問にしようとする。前任校で熱血教師ぶりを発揮した結果、生徒の反発を招いて心を病んだ、漆戸は顧問就任を躊躇(ちゅうちょ)する。

起用されるたびに成長する若い俳優たち

 ドラマは映画がそうであったように、次世代を担う俳優たちの群像劇である。朝の連続テレビ小説「まれ」(2015年度上半期)の主人公役を演じて全国区になった、土屋太鳳はデビュー作の映画「トウキョウソナタ」(2008年、黒沢清監督)ではリストラされた父を持つ娘役を演じた。この作品は、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門審査員賞を受賞し、黒沢監督の代表作のひとつである。

 「ソロモンの偽証」(2015年、成島出監督)は、全国で1万人近い中学生のワークショップとオーディションを展開して、成島監督が「日本の映像の次の時代を担う若者たち」を選び抜いた。

 ドラマの汐里役の石井杏奈は、成島監督のよって見出された。E-girlsの最年少のメンバーであることを成島監督は、選考後に知る。「ソロモン」の男子生徒の自殺と女子生徒の事故死にからむ、いじめに遭う重要な生徒役を演じた。

 わかば(土屋)の幼馴染で野球部員の椿山春馬役の清水尋也は、「ソロモン」で事件の首謀者と疑われた、不良少年役だった。


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