2024年11月22日(金)

日本を味わう!駅弁風土記

2011年6月10日

 この駅弁が名古屋駅弁の味噌カツブームの火付け役を果たしたという。確かに今は多くの名古屋駅弁でエビフライもヒレカツも八丁味噌に浸っているし、「びっくりみそかつ」に使われるみそだれの単品販売さえも始まった。この先駆者にとっては、自社や他社のライバルが増えたことになる。最近は付合せのポテトサラダをきしめんサラダに差し替え、より名古屋らしい体裁を備えている。

名古屋は駅弁激戦地

 ところで、名古屋の駅弁は味噌カツだけが元気であるわけではない。昭和30年代まで鶏の丸焼きがホーム上で立ち売りされていたように、名古屋の駅や駅弁の名物は鶏であった。今も名古屋コーチンその他の鶏肉を使う駅弁が10種近く出ており、その中には八丁味噌をまとうものもある。さらに幕の内の駅弁。尾張名古屋の大きな城下町が料理の腕前を磨いたのか、630円から1,550円まで10種を超える幕の内駅弁が負けていない。

 八丁味噌の駅弁と、鶏の駅弁と、幕の内駅弁。これで名古屋駅弁の7割を説明できる。これが全国有数の駅弁激戦地で、売れる駅弁、訴求力のある駅弁を競った結果なのだろう。名古屋の駅弁は、本当に賑やかである。
 

福岡健一さんが運営するウェブサイト「駅弁資料館」はこちら
⇒ http://eki-ben.web.infoseek.co.jp/


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