2024年4月25日(木)

家電口論

2018年8月19日

他の空調家電との融合

 実は空調ほど、勧めるのにやっかいな家電はそうありません。部屋の条件、使われ方がこれでもかというほど違いますし、部屋を使う人が、アレルギー体質であるのかでも、ずいぶん違います。このため、エアコンをはじめ、空気清浄機、(衣類乾燥)除湿器、加湿機、サーキュレーター、扇風機などを組み合わせて行く必要性があります。しかし全部置くと、コンパクトなモデルでも数台必要だと一畳分くらいとってしまいます。要するに部屋が狭くなるわけです。

 ならばということで、必ず部屋に付けなければならないエアコンに、その機能を持たせられないかという発想になります。このため、各メーカー、イオン発生機を取り付けたり、ストリーマーを取り付けたり、空気清浄機能を取り込んだりしています。

「薄型」リバイバル

売れ行き好調のダイキン工業の薄型 スタイリッシュ エアコンrisora

 省エネ、省エネで、今まで進化してきたエアコンですが、今、少し違う方向性に振ったエアコンが売れています。ダイキン工業のrisora(リソラ)に代表される「薄型」です。省エネの「タヌキ腹」に対し、すごくスッキリしています。部屋への収まりもいいです。また見た眼が良いので、アクセントにもなる、いろいろなカラーが揃っています。実際、部屋での圧迫感がまるでありません。

 ここ10年の違いで分かるように、エアコンは国が定めた「省エネ」によって進化してきました。そうすると方向性が一緒なので、どのメーカーをとっても、余り変わらないとなります。

 リビングという、自分がリラックスすべき空間に、どのメーカーでもあまり差がない「省エネだけ」のエアコンは相応しいのでしょうか? そうではないですね。自分の空間には自分らしいモノを置くべきだと思います。risoraの性能は中の上ですが、自分セレクトが可能なわけです。これは非常に重要なポイントだと思います。

次の進化はIoTか?

 もう一つ家電が進化する要素として「IoT」があります。2009年はほとんど普及していなかったスマートホンをリモコン代わりに使うというのは、いろいろなメーカーがしています。ただこれはリモコンの代用の話しです。IoTで今後、エアコンは変わるのでしょうか?

 これはイエスともノーとも言えます。ポイントはセンサー数です。今のエアコンのセンサーはかなり工夫がされており、色々な場所の温度を見て取ることができます。が、風は、湿度はどうでしょうか? センサーがないので、分かりません。

 エアコンとは別にセンサーがあると、これらの情報を元に、エアコンをAIが、より高い精度で操作してくれます。しかも温度だけでなく、湿度、風も最適化してくれます。空調は、いろいろな要素が絡むので、常にベストを求めるとなると、手動ではなく「全自動」が理想的です。

 しかし、問題もあります。センサーの数などもそうですが、価格です。まず「省エネ化」は、かなり開発費がかかります。その上、IoT化させるとなると、さらに上乗せとなります。センサーの数を増やすとなればなおさらです。そうなると「IoTのあるサービスが絶対に便利」と太鼓判を押されるまで、IoT化に熱心になるメーカーは少ないのではと思います。

 ここ10年「トップランナー基準」方式で遮二無二省エネを追求してきて、今、かなりの成果を上げてきています。しかし、一方、省エネに専心するため、別な方向性の開発が不十分だと思います。別な方向性が省エネ以上の魅力を持つのかは分かりませんが、「薄型」の様に指示される方向があるのも事実です。

 今後の家電は、ますます多様化が求められるようになると思います。これに対し、法律を絡めた「省エネ」要求が律速になる可能性もあります。数年間「トップランナー基準」方式を外したとしたら、エアコンはどちらの方向へ進むのでしょうか? 見て見たい気がします。

  
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