・2017年6月の米印共同声明及び2017年11月10日のトランプ大統領のダナン演説、2018年6月1日のモディ首相のシャングリラ演説に基づき、米印両国はインド太平洋地域における協力を促進する。両国は、他の友好国とも協調して、ASEAN中心、主権尊重、領土保全、法の支配、善き統治、自由で公平な貿易、海空の航行の自由というものを基礎にした自由で開かれ内包的なインド太平洋を推進する。この地域におけるインフラ整備と連結性の重要性に鑑み、両国は、他の友好諸国とも協力して、インフラ発展における透明で責任ある維持可能な貸付ファイナンスの実行を支援する。
・両国は、アフガニスタンの安定化で協力する。インドは6月12日の米朝首脳会談を歓迎し、両国は、北朝鮮の大量破壊兵器開発への対抗措置で協力する。
・両国は、二国間の貿易の更なる拡大と均等化を図る。民間の原子力協力に関しては、インド原子力会社(NPCIL)及びウェスティンハウス電力会社との協力が完全履行されることを望む。両者はインドに6基の原子力発電所の建設で合意している。
・医療、宇宙、海洋分野等での科学技術協力を進める。
初の米印「2+2」の実施に関しては、インドの非同盟中立の伝統やロシアからの武器の調達等で、否定的な見方もあった。しかし、上記の共同声明に見るように、米印両国が、様々な分野で協力を推進しようとしている姿勢が理解できる。特に、防衛技術協力に関する規定が多いことが注目される。
この背景には、インドの隣国でもある中国の台頭があるだろう。また、インドは人口増加に伴う経済発展も進めなければならない。モディ首相が進める「Make in India」キャンペーンもその一環である。トランプ大統領の「アメリカ第一主義」とぶつかる側面はあるが、対中政策や対テロ政策でのアフガニスタン安定化等に、インドの協力は欠かせない。また、インド人研究者の技術革新や理系における能力の高さは、米国の大学院にインド出身者の学生が多いことからも、米国はよく理解している。そういうことからも、両国の協力の可能性が、上記のような共同声明になったのだろう。
米印「2+2」に先立ち、8月20日には、日印防衛大臣会合が開催され、共同プレスリリースが発表された(9月7日付け本欄『米国も警戒する中国のアフリカ進出――押され気味の日本、再びのチャンスは?』)。日印両国間では人的交流に焦点が置かれ、具体的計画が明記された。これらも進めながら、日米、日印、日米印などでの、技術や装備品移転も含めた協力の余地が更にありそうである。
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