2024年7月15日(月)

解体 ロシア外交

2011年7月28日

 第一に天然資源をより多く輸出に回して外貨を稼ぎたいという目的、そして第二に有限な資源埋蔵量に余裕のあるうちに原発を完備したいという目的がある。

 そして、ロシアの原発建設は、国外でも行われており、インドやトルコ、イラン、ベトナム、中国など8ヶ国で計30基の原発を建設もしくは輸出を計画している。さらに、2025年までに、国外では30~45基の原発を新設し、世界でのシェアを20%に高めることを目指しているのである。また、核燃料の提供にも積極的である。

緊急停止が年10回?
実は危険なロシアの原発

 その背景には、ロシアが原子力を成長産業と位置づけ、外交ツールとしても重視していることがある。一度、原発の輸出に携われば、その後、メンテナンスや核燃料供給などで半永久的に諸外国の原発事業に携われ、その国のエネルギー戦略のカギを握ることもできるからである。だからこそ、ロシアは福島原発事故後に世界で顕著となってきた原発回避の動きを牽制したいのである。

 なお、ロシアの原発輸出戦略で特徴的なのは、原発の使用済み核燃料の処理も請け負う点にある。日本が使用済み核燃料の処理問題で困窮しているように、使用済み核燃料の処理は原発保有国にとって大きな問題だ。ロシアの原発は安全性では若干劣るとされているが、欧米のものと比較してかなり安価である上に、使用済み核燃料の処理まで請け負ってくれるということは、かなり魅力的だといえる。さらに、イランなど欧米諸国との関係が微妙な国もロシアに原発開発を依存する傾向がおのずと強くなる。

 このように、ロシア首脳陣は、福島原発事故後も原発拡大路線を貫いており、チェルノブイリ事故の教訓も生かしているロシアの原発は福島原発より安全だと強調している。

 しかし、実はロシアでは、原子炉の緊急停止が年平均で約10回も発生しており、決して安全だとは言えない。そして、実は福島原発事故後、ロシアが自国の原発の安全調査を行った結果、かなりの問題点が明らかになったようである。

 今年の6月24日にはロスアトムのキリエンコ総裁がプーチン首相と会談した際、原発の安全性向上に向けた追加設備購入などのため、今年から来年にかけ「計150億ルーブル(約426億円)以上の予算措置を取る」ことを決定したという。福島原発の経験から、非常時に電気や冷却水を自動供給するシステムやディーゼル発電機、ポンプ、防火装置などを配備するそうである。このように隠された問題が色々とありそうである。

チェルノブイリ事故後も
原発をやめないウクライナ

 ウクライナは、チェルノブイリ原発事故という負の歴史を持ちながらも、安価に電力を安定確保する手段が原発の他にないため、設備容量で世界第7位、欧州第4位の原発大国である。国内電力需要の48%はザポロジエ、フメリニツキー、ロブノ及び南ウクライナの4カ所15基の原発が担っている。運転中の原子炉はすべて旧ソ連型原子炉で、内訳はVVER-440が2基、VVER-1000が13基となっている。

 2006年3月には、「2030年までのウクライナのエネルギー戦略」が決定され、2005年の原子力発電量水準を2030年まで維持することが決定されている。そして、現在稼働中の原発のうち9基が2030年時点においても運転が続けられるとし、うち7基に対して15年の寿命延長措置が施される予定となっている。またロシアから支援を得て、フメリニツキー原発で大型炉の4号機、5号機を建設中であり、それらは各々2016、17年に稼働開始予定となっている。


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