世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年10月26日

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 そして今、中東を揺るがすような事件が起きている。サウジ・アラビアの政治を批判してきた同国ジャーナリストのジャマル・カショギが行方不明になっている事件である。エルドアンも、同氏の行方不明には当惑させられると述べている。トルコ当局は同氏が在イスタンブール・サウジ総領事館で殺害されたとの見方をしており、サウジ側に説明を求めているという。事実であれば、強権化するサウジのムハマッド皇太子の政治自体が問題とされるだろう。トルコ・サウジ関係も緊張を増し、更に皇太子を支援してきたトランプ外交の問題にもなる。

 トルコの治世は、本来的に難しいものである。この点は同情を禁じ得ない。トルコは、イスラムであるがアラブではない。アラブとは微妙な関係を運命づけられた国(孤立したともいえる国)である。栄光の歴史と文化を持つ中東の大国なのだが、アラブのような所与の同盟グループは存在しない。常に流動的である。NATOの一員ではあるものの、欧州の一部にはなかなか入れて貰えないなど、複雑な立場に立たされている。

 いずれにせよ、トルコは中東の地政学を占う上でカギとなる国である。トルコが抱える問題をよく吟味し、注視していく必要がある。

  
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