Washington Files

2018年11月12日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

2020年大統領選での再選はありうるのか?

 ではこうした選挙結果を踏まえ、今後のトランプ・ホワイトハウスの政権運営に具体的にどんな影響が出てくるのか。そして、2020年大統領選での再選は果たしてありうるのか?

 この点について、共和党関係者の間では、(1)共和党は上院選のうち、とくにテキサス、ジョージアなど南部重要拠点州を死守した(2)選挙戦の最終段階で大統領自らが連日重点的に現地入りし支援演説をした11都市のうち7つの選挙戦で共和党候補が勝利した(3)上院選と州知事選で前回以上の戦果を挙げた―などの判断から、今後も従来通り、保守層に重点を置いた「アメリカ・ファースト」主義を継続していく、との見方がある。

 しかし、懐疑論も少なくない。そのひとつの理由として挙げられているのが、下院民主党を中心としたトランプ氏周辺に対するさまざまな疑惑追及との関係だ。 

 共和党に代わって新たに下院情報特別委員会委員長就任が予定されている民主党のアダム・シフ議員はすでに「来年1月からはロシア疑惑調査を本格化させる」と公言、同司法委員会、監視委員会でも同様の動きが出始めている。

 同じく委員長ポストが共和党から民主党に入れ替わる歳入委員会では、大統領就任前までのトランプ氏の納税申告問題にメスが入れられることが確実視され、もし真相究明の結果、脱税または不正申告疑惑が濃厚になった場合、ロシア疑惑問題と合わせ弾劾審議を求める声が下院内で急速に高まることも考えられる。

 大統領としてはこうした不利な状況に追い込まれた場合、弾劾に必要な下院の過半数支持をなんとか突き崩す必要があり、そのためには従来のような野党に対する高飛車な態度をある程度軟化させざるを得なくなる。

 また、大統領にとって今後の内政重要課題である大規模インフラ投資についても、予算審議の先議権を握る民主党下院の支持とりつけが不可欠であるほか、外交では、民主党議員の中にも同調者が少なくない対中国関税引き上げ問題でも、大統領として幅広い国民の理解を得るため民主党へのある程度の妥協姿勢は避けられなくなる。
 
 トランプ大統領は野党民主党に対し、中間選挙後の記者会見で融和的ポーズを見せる一方で、ロシア疑惑などをめぐる民主党の今後の対応次第では報復も辞さない強気の構えを崩していない。

 しかし、前述した通り、これまでの「トランプ主義」は今回の中間選挙で、共和党地盤である中西部を含め手厳しい裁きを受けたことは否めない。もしトランプ氏が、それにもかかわらず従来通りの独善的な政治手法を今後も取り続けるとすれば、2年後の大統領選での再選の道は一層遠のくことになるだろう。

  
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