Washington Files

2018年11月12日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 まず上院では、共和党が過半数を維持したものの、2016年大統領選でトランプ候補が勝利したウェストバージニアはじめ少なくとも5州以上で民主党候補が今回当選を果たした。2年前トランプ候補当選のカギとなった中西部のオハイオ、ペンシルバニア、ウイスコンシンでも民主党候補が再選された。共和党の伝統的地盤であるアリゾナ、フロリダ両州でも10日現在依然として100%開票にまで至っておらず、民主、共和両党候補が僅差のまま、最終的にどちらに軍配が上がるか、大きな関心を集めている。
 
 下院では、アメリカのハートランド(心臓部)州でもあるアイオワ州で民主党が現職共和党議員から2議席、南部の一角をなすバージニア州でも同じく2議席奪い返したほか、伝統的に共和党の牙城ともされてきたディープ・サウス(深南部)オクラホマ州のオクラホマ・シティ選挙区、ジョージア州アトランタ近郊選挙区でも民主党候補が勝利した。

 全体として民主党は下院で、前回より最低でも35議席増となり、最終的には40議席近くまで上積みするとみられる。これは同党にとって、ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任した1973年以来、中間選挙としては45年ぶりの大躍進となる。

 また、ニューヨーク・タイムズ紙によると、全米の票田を細かく分析した政治マップの変化を見た場合、全体の21%にあたる317地区が今回、共和党から民主党支持へと入れ替わったという。

全米の「人民の意思」を幅広く反映した民主党

 このように、民主党がかなりの差をつけ多数を制する原動力となったのは、とくに女性、ラテン系、黒人系などのマイノリティ、若年層、高学歴の都市近郊居住者たちだったとされ、彼らがトランプ大統領の女性差別発言、移民蔑視政策、同盟諸国批判、ホワイトハウス内部の混乱などをめぐり、例年以上に大挙して票を投じたことが勝因につながったと分析されている。

 もともと州ごとに人口規模に応じて議席数が振り分けられる下院議員は、「州代表」と位置付けられる上院議員と異なり、「人民の代表」といわれており、今回の下院選挙の結果で見る限り、全米の「人民の意思」を幅広く反映したのが民主党だった。

 就任以来「ポピュリズム」(人民主義)を売り物にして来たトランプ大統領としては、民主党にそのお株さえ奪われる結果となったともいえる。

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