2022年12月4日(日)

Wedge REPORT

2018年11月20日

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横たわる大きな溝

 日本に在籍する外国人留学生のうち、大学や専門学校などの「高等教育機関在籍者」は約19万人(2017年度)。専門性を生かした職種での就職先を見つけ、在留資格を「留学」から「就労」に切り替えることができれば、日本の企業で働くことができる。人手不足企業の貴重な戦力となる。

 ところが、日本企業に入社するのはそうたやすいものではない。今年春に就職活動をしたというベトナムからの留学生は嘆く。「日本の大学で品質管理を学んだ。日本の工学技術は世界一ですね。だからモノづくりの街である愛知で、世界レベルの仕事をしたいと思っていた。しかし、日本の就活のマナーやルールを理解するのに苦労した上に、自分の力が生かせるのがどの企業なのか、見つけるのが本当に難しかった」。

経済産業省「内なる国際化研究会」 報告書(16年3月)を基に ウェッジ作成(複数回答・上位抜粋) 写真を拡大

 日本学生支援機構の調査によると、日本での就職を希望する留学生は全体の6割にのぼるが、就職できるのは3割程度だという。留学生にとっては、入社後の仕事内容が明確に示されないことにも壁を感じていることが多い(左表)。東京外国人雇用サービスセンターの津田武彦室長は、「留学生からは、SPI(適性検査)やグループディスカッションなどを実施する意味を見いだせないという声も多い。海外で一般的なのは、職務に相応しい人間を選抜する『スペシャリスト採用』であって、年功序列や終身雇用が前提で企業風土に合うかをみる日本特有の『メンバーシップ型』の採用にも抵抗があるようだ」という。

 グローバル化が進む一方で、日本企業は留学生の「日本語能力」や「日本企業における働き方の理解が不十分な点」に不満を持っている。だがギャップを乗り越えなければ留学生の採用はできない。岐阜にある精密機械メーカーの人事担当者は、「留学生の受け入れに躊躇(ちゅうちょ)していたが、今後を考えると受け入れの体制を考えないといけない」と危機感をあらわにした。

経済産業省委託事業「外国人留学生の 就職及び定着状況に関する調査」 (15年3月)を基にウェッジ作成 (複数回答・改善点ありのうち上位抜粋) 写真を拡大

 人手不足に直面する中、企業と留学生が就職活動で抱く不安や不満を積極的に解消して双方のマッチングを促進しようとする動きが出てきた。PART2ではその最前線の動きを追った。

現在発売中のWedge12月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■留学生争奪戦「金の卵」に群がる産業界と大学
PART 1  日本企業が縋る〝金の卵〟留学生
PART 2  ニッポンで働く「壁」を取り除き留学生と企業をマッチング
COLUMN 外国人を活かすも殺すも企業次第
PART 3  ”偽装留学生”はなぜ日本をめざすのか?(出井康博)
PART 4  日本語学校の教育の質の担保を(佐藤由利子)
PART 5  定員割れ大学の延命を図る留学生30万人計画(小川 洋)
INTERVIEW 留学生を〝金の卵〟とするために大学と社会に求められる覚悟
       出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)

  
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◆Wedge2018年12月号より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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