2023年2月2日(木)

Wedge REPORT

2011年8月23日

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 右表のように、ソーシャルゲームの市場規模は今後拡大が見込まれる。家庭用ゲームが主力の世界最大規模のゲームソフトメーカー、米Electronic Artsは1000人規模のリストラを実施する一方、ソーシャルゲームなどに強いPop Cap Gamesを7月に買収。国内SNS大手のグリーも、米大手ソーシャルゲーム関連のOpen Feintを今年の4月に買収した。

 家庭用ゲームソフト大手のカプコンで、「ロックマン」シリーズなどを手がけた名物クリエーターの稲船敬二氏は同社を退社し、昨年12月に「comcept」を設立。今年の秋にソーシャルゲームの新作を出すと発表した。

 一方、苦戦しているのが家庭用ゲームだ。国内の家庭用ゲームソフト市場は10年近く3000億円前後で推移。海外市場も、08年には米国で1兆2000億円、欧州で1兆円前後あった市場規模がそれぞれ10年には、1兆円、8000億円まで下落した(ファミ通ゲーム白書2011より)。上表のように、今後も下落を続けるという調査結果もある。

 簡潔にいえば、1台数万円するゲーム機と、4000~6000円のゲームソフトを購入して初めて遊べるのが家庭用ゲームの特徴だが、ソーシャルゲームはパソコンや携帯電話、スマートフォンで遊べる。

 スマートフォンにネット上からダウンロードして遊ぶゲームも一般的になった。無料のものが多く、有料でも1本100円~1000円台が大半だ。家庭用ゲームは、実際に遊んでみないと楽しさが分からないというリスクがある。値段が安ければ、面白くなくても懐は傷まない。価格の点でも家庭用ゲームは不利な状況である。

 通信規格が3G以上の携帯電話は、日本ではほぼ普及率が100%だが、いちよし経済研究所の調べでは、北米では10年の59%から15年には95%へ、西欧でも47%から80%に達する見込み。スマートフォンの普及率も、日本が7%から80%、北米で33%から84%、西欧で24%から56%と予測されている。ソーシャルゲーム市場はますます拡大していくだろう。

ユーザー目線なき流通構造

 「メーカー、流通、ゲーム雑誌の関係を見直さないと、日本の家庭用ゲーム産業は負のスパイラルから抜けられない」

 あるゲームソフト会社社長は、ゲーム業界の状況をこう憂えた。象徴的事例が、昨年12月に発売されたニンテンドーDSのゲームソフト「二ノ国 漆黒の魔導士」である。

 「二ノ国」は、スタジオジブリがアニメーション作画、久石譲氏が音楽、企画・制作を「レイトン教授」シリーズ等のヒットを飛ばすレベルファイブが担当。NHKスペシャルの「世界ゲーム革命」でも紹介され、業界団体主催の日本ゲーム大賞「フューチャー賞」を受賞。ゲーム雑誌大手の『週刊ファミ通』において、「プラチナ殿堂入り」するなど高評価を受けた。

 だが、発売初週の消化率(出荷本数に対して売れた割合)が33%と低迷。家庭用ゲームソフトは小売店の買い取りが基本なので、在庫消化のために安売りの対象となった。

 近年の家庭用ゲームの不振から、新作が手堅く売れるシリーズ物に偏重するなか、ヒット確実視の作品が躓いたことは、「市場の縮小傾向に拍車をかけた」(関係者)との指摘がある。

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