ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2018年12月18日

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井上佳世 (いのうえ・かよ)

ライター

1965年生まれ。ライター、編集。教育、福祉、政治に関するインタビュー記事を執筆。実用書、ビジネス書、俳句を中心とした文芸書の編集にも携わる。

ゲーム好きな子と進学塾の親和性

おおた:中学受験に絞って言うと、「受験するもの」と決めているご家庭もあれば、入口で「どうしようかな」「うちにできるかな」と悩まれるご家庭もあります。中学受験という渦に巻き込まれるのが怖い、みたいな。僕はそこはあまり深く考えず、迷いつつも中学受験が視野に入っているのであれば、中学受験専門の塾に通ってみることをおすすめします。最終的に中学受験をしなくても、塾で学ぶ経験は無駄にはならないはずだからです。できる範囲でがんばって、自信ができたらトライしてみればいい。たいがいの子どもは塾に通うと「楽しい!」って言いますよね。

おおたとしまささん
育児・教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退、上智大学英語学科卒業。リクルートを2005年に独立後、数々の育児誌・教育誌の監修・編集・執筆を担当。現在は育児・教育に関する執筆・講演活動を行う。心理カウンセラー、中高の教員免許をもち、私立小学校での教員経験もある。著書に『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』(祥伝社新書)、『ルポ 塾歴社会』(幻冬舎新書)、『中学受験という選択』(日経プレミア新書)、『追いつめる親』(毎日新聞出版)『受験と進学の新常識』(新潮新書)『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)などがある。

小川:受験勉強ほど、努力に対して結果がわかりやすい環境ってなかなかないからだと思います。スポーツは、2カ月、3カ月で結果がすぐに出るものじゃない。評価によって結果が変わる競技もあります。でも、勉強は今日がんばったら明日のテストで点が取れますからね。同じ目標を持つ友達と集えるのも、塾の楽しみの大きな要素の一つでしょうね。僕がよく親御さんに言っていたのは、「塾の勉強って、ゲーム攻略と一緒なんですよ」ということです。学習面談で、「子どもがゲームにはまっているのが心配」という声をよく聞きましたが、「ゲームのどんなところでお子さんが一番ワクワクしているか教えてください」と尋ねると、たいていお母さんは答えられません。ゲームはよくないものと思い込んでいるから、子どもを観察するという発想がないんです。そこで、「ロールプレイングゲームでお宝ゲットしたときに燃え上がるタイプなのか、シューティングゲームで敵を倒す無双感に浸るタイプなのか、どっちですかね。 それによって勉強のアプローチが変わるので」と言うと、俄然興味が湧いて「昨日、攻略ビデオを見て、その通りやったらクリアできたと喜んでいました」と気づいたりします。僕が言いたいのは、勉強とゲームという遊びを分ける必要はないということなんですけどね。

おおた:ちなみにそういう子にはどんなアプローチが有効なんだろう。

小川:「作戦が好きな子」ということですから、理科の「光の反射」のような思考タイプ問題の考え方の手順を理論立てて解説できる先生に教わると、一気に理科にハマる可能性があります。実際、攻略本を読むなど研究熱心な子は、塾も好きになりやすいです。

小川大介 (おがわ・だいすけ) さん
1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大学受験予備校、大手進学塾で受験国語の看板講師として活躍。難関中学、国公立大学医学部などへ多数の合格者を送り出す。2000年、さらなる学習指導の理想を追求し、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。著書に『小川式[声かけ]メソッド』(宝島社)、『中学受験 基本のキ!』(共著:日経BP社)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)、『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『親も子もハッピーになる最強の子育て』(ウェッジ)など。

勉強で子どもをつぶす親、能力を最大限に引き出す親

おおた:もともと子どもが持っている能力や興味、関心を伸ばしていけば、誰でも勉強を好きになるわけですよね。まあ、そこにどう関わるのかが難しいわけですが。

小川:子どもって、初めて見たものに対しては「なんだこれは!」と目を輝かせるじゃないですか。好奇心のかたまりですから、出会って、調べて、知って、また、出会って、調べて、知って……ということを繰り返していると、学ぶことがどんどん楽しくなります。勉強もその延長線上にあるものです。では、どこで勉強嫌いになってしまうかといえば、楽しさを感じる前に「これをやりなさい」とドリルや問題集で勉強を強制されてしまうからです。僕は、子どもにドリルを与えたいなら、親子で一緒に本屋さんへ買いに行って、子ども自身に選ばせてあげてほしいと考えています。自分で選んだものなら、子どもは喜んでやりますから。でも普通は、大人が買って与えるものだと思っている。親御さんに「それって誰かが決めたんですか」と聞くと、「だってそういうものでしょう」と。そう決まっているから、そうしなくちゃいけないと思い込んでいることが、とても多いですね。

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