2024年4月24日(水)

栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2018年12月18日

「サッカーW杯」と「中国発の宮廷ドラマ」が上位を席捲

 まずワールドカップ関連が1/4/9位にランクイン。台湾では、スポーツの試合の勝敗にお金を賭ける「券」が公的に認められている。元々は、地下賭博の減少を目的に政府機関が設けたものだが、現在は民間に委託されており、街角のロトくじ売り場などで気軽に買うことが出来る。大きなスポーツの試合の中継が台湾で非常に盛り上がる理由のひとつとなっている。

 2/6位は、今年もっとも人気のあった中国発の宮廷ドラマだ。どちらも清朝の乾隆帝の時代を背景とし、後宮における女達の戦いと皇帝との関係を、現代の愛情ドラマ風に演出した。アジアを席捲した韓国ドラマがお家芸としてきた、「運命的な恋愛の残酷さと切なさ」を中国時代劇に換骨奪胎したことで、台湾のみならず香港・マレーシアなどの中国語圏の女性達をトリコ仕掛けにし、中華意識の発揚にも一役買った(かもしれない)。

「選挙の課題」も浮き彫りに

 そして、現与党政権の衝撃的な敗北が日本でも話題となった11月の統一地方選(九合一選舉)の投票関連が5/7/8/10位にランクイン。

 5位の中選會(中央選挙委員会)に関しては、今回の選挙において様々な問題、例えば公民投票と統一地方選挙が同時に行われたことで混乱し、地方によっては開票と同時に投票が行われる事態となったことなど、現行の選挙システムの見直しをせまられることになった。

 7位の公投(公民投票)においては、国民投票へのハードルを下げたことで、台湾における民主主義についての様々な問題点が可視化された。マイノリティーの人権問題を多数決で決めてよいのかどうか(同性婚問題 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14658)をはじめ、国家領土や防衛に関することは公投にかけるべきではないという行政院の提議も出ており、今後も討論・見直しされていくべき問題だろう。

 8位の韓國瑜(ハン・グォユィ)氏は、今回の選挙の台風の目となった人物だ。国民党員であり台北県議会議員及び立法委員(国会議員)の出身で、臺北農產運銷(日本の農協にあたる)の取締役を務めたこともある。ちょうど、現民進党政権の蔡総統の指名で同じ役職(臺北農產運銷総経理)を担った呉音寧(ウ・インニン)氏が「世間知らずで使えない文系お嬢さん」としてメディアに叩かれたことで、前職だった韓國瑜がシーソー効果で「庶民のデキル味方」と持ち上げられ、そのユニークな風貌とキャラクターも相まって「韓國瑜旋風」を巻き起こした。また中国からの観光客や企業を受け入れて経済発展させるとのマニフェストも支持され、20年に渡る民進党の牙城であった高雄市を突き崩し、その影響は台湾全土に波及した。


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