青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2019年2月8日

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人間とは何かを考える

 それではゲームデザインに必要なことは何でしょうか。それは自分自身で「たのしい」「おもしろい」を理解して、それをデザインできることです。では、具体的にはどうすればいいのかと言えば、私の授業で教えているのは3つのメソッドです。

 

 ヨハン・ホイジンガという人がいたんですが、この人が言ったのが「ホモ・ルーデンス」、「あそぶ人」という考え方です。人はあそびによって文化を生み出す、生活に意味を与えると。それを発展させたのがロジェ・カイヨワで、あそびには4つの要素があると考えました。それが、競争、偶然、ものまね、めまいです。

公園のすべり台で考える

 それではこの4つの要素を公園のすべり台で考えてみましょう。普通のすべり台とぞうさんのすべり台があった場合、子供たちはどちらのすべり台であそぶでしょうか? ぞうさんのすべり台ですね。すべり台が、ぞうを模倣=ものまねしています。では、恐竜型のすべり台があったらどうでしょうか? ものまねに加えて、高さ、スピード、制御不能でめまいを覚える恐竜型であそびたいに違いありません。

 
 

 これをさらに魅力的なすべり台にするには、たくさんの人たちと競争できるようにコースを増やして、偶然の要素を入れるために噴水にして首を振らせます。ここまでやると、すべり台がジェットコースターになりました。このような無制限のブレインストーミングが新しい発想を生み出します。

 

横スクロールゲームはなぜ右に進むのか 

 

 では、ゲームに戻って考えましょう。横スクロールゲームはなぜ右に進むのでしょうか。実は左にスクロールするゲームありました。しかし、ゲームは右スクロールがデファクトスタンダードになりました。これを作ったゲームデザイナーは何かを模倣しているんです。それは楽譜です。世界中の人が楽譜を左から右に追っています。音符を追う視線をキャラクターに、演奏する楽器の鍵盤をコントローラに、音符をブロックに置きかえるとあの有名なゲームになります。

 見た目はやさしそうですが、実はクリアするためには楽器の演奏のように、何度も練習が必要です。うまい人は、自分なりにアレンジしたプレイ方法でゴールに到達できるという点も優れたデザインです。しかし、逆戻りはできません。そんなところからも、このゲームをデザインした方が楽器の演奏を思い浮かべたことが想像できます。

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