人間とは何かを考える
それではゲームデザインに必要なことは何でしょうか。それは自分自身で「たのしい」「おもしろい」を理解して、それをデザインできることです。では、具体的にはどうすればいいのかと言えば、私の授業で教えているのは3つのメソッドです。
ヨハン・ホイジンガという人がいたんですが、この人が言ったのが「ホモ・ルーデンス」、「あそぶ人」という考え方です。人はあそびによって文化を生み出す、生活に意味を与えると。それを発展させたのがロジェ・カイヨワで、あそびには4つの要素があると考えました。それが、競争、偶然、ものまね、めまいです。
公園のすべり台で考える
それではこの4つの要素を公園のすべり台で考えてみましょう。普通のすべり台とぞうさんのすべり台があった場合、子供たちはどちらのすべり台であそぶでしょうか? ぞうさんのすべり台ですね。すべり台が、ぞうを模倣=ものまねしています。では、恐竜型のすべり台があったらどうでしょうか? ものまねに加えて、高さ、スピード、制御不能でめまいを覚える恐竜型であそびたいに違いありません。
これをさらに魅力的なすべり台にするには、たくさんの人たちと競争できるようにコースを増やして、偶然の要素を入れるために噴水にして首を振らせます。ここまでやると、すべり台がジェットコースターになりました。このような無制限のブレインストーミングが新しい発想を生み出します。
横スクロールゲームはなぜ右に進むのか
では、ゲームに戻って考えましょう。横スクロールゲームはなぜ右に進むのでしょうか。実は左にスクロールするゲームありました。しかし、ゲームは右スクロールがデファクトスタンダードになりました。これを作ったゲームデザイナーは何かを模倣しているんです。それは楽譜です。世界中の人が楽譜を左から右に追っています。音符を追う視線をキャラクターに、演奏する楽器の鍵盤をコントローラに、音符をブロックに置きかえるとあの有名なゲームになります。
見た目はやさしそうですが、実はクリアするためには楽器の演奏のように、何度も練習が必要です。うまい人は、自分なりにアレンジしたプレイ方法でゴールに到達できるという点も優れ