お天気連動型のTNQL
さて、我々が作ったのがTNQL(テンキュール)です。天気のビッグデータを1時間ごとに分析して、天気や気温の変化に合わせたコーディネートを提案するものです。例えばこれが本日の青山学院大学でのオススメのコーデです。気温は低いですが雨は降らないので足元はヒールでもいいですが、上は温かくしてくださいという提案ができます。
提案するだけでなく、ユーザーの方が実際に何を着たかを自撮りしてカレンダーに記録するという機能があります。これに対して画像解析をかけると、この人はあまりスカートを履かないなとか、こんな色が好きなんだなということが分かってきます。これらのデータはWatsonが取り込んで学習していきます。
そうするとよりユーザーの好みに近いコーデを優先して提案できるようになります。また、実際にある服、これは代官山のセレクトショップにある服のコーデですが、イラストと写真のどちらでも表示できます。もし気に入ったら、購入というボタンを押して買うこともできます。札幌と沖縄では違う服が提案されますし、個々に違うコーデが表示されるので、これもマイクロマーケティングの一つであると言えます。2020東京オリンピックに備えて、英語、韓国語、中国語にも対応して海外からのお客さんにも、日本でどんな服装をすればいいのかが、簡単に分かるような機能も提供しています。
青学短大生のコーデをAIに分析させる
今回は青山学院女子短期大学の女子に協力していただき、青学のコーデを分析したらどうなるかを試してみました。実際にやったのは、まず学生の方から1000枚近くのコーディネート写真を提供していただきました。それをカブキスキャナー(♯CBK Scanner)と呼ばれるAIに入力して、世の中のトレンドとどう違うのかを算出してみました。
分析していくと何が分かるかと言えば、まずトップスですが、季節も関係していますが、色はブラックとホワイト。素材はニットの出現頻度が多かったです。その中に着ているのはブラックとホワイトが多く、素材はスエットとケーブルニットが多かったです。次にボトムスですが、パンツにジーンズまで加えると、パンツとスカートの比率は半々と言えます。柄はデニムの場合は無地ですが、スカートではチェックや花柄が多く、これは世界的なトレンドとも合致しています。あとはワンピースですが、こちらも花柄、柄物を着ている人が多かったですね。これもエルやボーグの提案する秋物の定番としてネイビー、ファーとレザーがトレンドアイテムと合致します。
結論として青学短大生は学校に来るということで無地を着てくる人も多いですが、チェックや花柄の出現頻度が高くトレンド感度が高いのかなと思います。また、レザーアイテムを身に付けていると人が多く、さすが青学と思われました。
AIの分析から可視化されるファッション傾向
それでは、このような分析がいったい何の役に立つのか。まず、トレンドを把握することです。次にユーザーの好みやワードローブを把握して、マーケティングに活用します。トレンドを把握したり、所有するアイテムに合わせたリコメンドをしたり、ということが出来るようになります。これを実現するための顧客のデータは増え続けています。さらにTNQLの気象データも蓄積されています。これらのデータを解析するには、Excelを使って表計算とかでは追いつけません。AIが必要不可欠になります。
ではどんなことがTNQLのデータ解析から分かったのでしょうか。例えばコートが欲しくなる時期は、北海道と東京では異なります。気温が違うので当たり前ですが、それだけではなく、北海道の方が室内が温かいとか、寒さに強い人が多いとか別の要素もあり、コートを選択する気温の目安は最高気温が15度を下回る時なのですが、その時期は東京が11月下旬、北海道は10月下旬であることが分かりました。
また、理由は分かりませんが、北海道では赤の出現頻度が高く、ミリタリージャケットは四国で人気があることが分かりました。こうしたことが分かると、このユーザーは四国の人だから、赤ではなくミリタリー柄をリコメンドしようとなります。でも、普段から赤を着ている人だから、やっぱり赤を提案した方がいいよね、という分析もAIの力を借りると出来るようになります。