「スイーツ(笑)」は死語となったが……
そう、そもそもわかりづらい広告だった。怒りや呆れではなく、困惑の感情をツイートしていた人も多かった。そして、ツイッター上で共感できないとツイートしているのは主に女性、しきりに擁護しているのは主に男性だった。
思うことがある。ほんの10年ほど前、ネット上では「スイーツ(笑)」という流行語があった。女性誌を好んで読み、デザートをスイーツと表現するような女性が、「スイーツ(笑)」と揶揄された。頭が軽く流行に流されやすい、との意味で使われていたと記憶する。
当時、女性が楽しむファッションや流行はネット上で男性から毛嫌いされていた。この流行語が使われ始めてから数年は、女性たちの間でさえ「スイーツ(笑)と呼ばれるような女性だと思われたくない」という空気が少なからずあった。しかしインターネット黎明期とは違い、スマートフォンが革命的に普及した今、ネットは老若男女が使うもので、あらゆるターゲット向けの情報が混在する。女性が自分たちの流行や趣味を自虐する風潮は、今は当時ほどない。
それなのに。今回の広告の「ズッ友」を揶揄するようなセンスは、「スイーツ(笑)」の(笑)に似ている。昔のインターネットに確かにあった、女性発信の文化を揶揄し、女性に自虐を求める空気を引きずっているのではないか。飛躍しているかもしれないが、そうであるならツイッター上で一部の男性がしきりとこの広告を擁護していることの説明がつく。
毎回思うのだが、女性をターゲットとする広告に女性が批判や困惑の声を上げたとき、出しゃばって擁護する男性は一体どういう心境なのだろう。女性はもちろん、広告を打つ企業からもお呼びでないと思うのだが。
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