2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2019年3月4日

だから今のカープは強い

 前出のカープ有力OBも「だから今のカープは強い」と断言し、こう続ける。

 「普通に考えれば、広島のキャンプは〝長野祭り〟になるはずだった。それはそれで球団としては人気向上も見込めて歓迎のはずだったが、緒方監督ら現場首脳陣はそういうチャラチャラした雰囲気を嫌った。これは何も今年だけが特別というわけではない。

 これまで、少なくとも緒方体制下ではずっとこういうムードが自然と保たれていた。戦いが始まる前から1人だけが主役になる。しかも移籍してきた人間が前からいたメンバーを差し置いてスポットライトを浴びるような状況になれば、チームの歯車は狂ってしまう。そうなる流れを読んでいたからこそ緒方監督を筆頭に首脳陣はキャンプイン前から『3人を除いて横一線』という厳しい方針を打ち出した。

 これでベテランから若手まで多くの選手たちのやる気が促され、何より長野本人も『ヤバい』とギアをロー状態からいきなりトップへと入れざるを得なくなった」 

 加えて補足すれば、元来から長野は人一倍の気配り屋。自分のことよりも他人の気持ちを考える性格の持ち主で、巨人時代からも定評があった。広島側から水面下で「チーム合流はキャンプイン初日からで構わない」と通達されていたにもかかわらず、宮崎・日南での先乗り合同自主トレに率先して参加したのも新天地に早めに馴染もうという気持ちの表れであり、コイの面々に自分はVIP待遇でも何でもないと訴えたかったからであろうと十二分に推察できる。

 そんな熱いハートを持つ男と考えれば、なおさらだ。レギュラーの座も確約されていない中、他の主力よりも移籍したばかりの自分が注目されるなんておこがましい。そして今は生き残りをかけ、定位置獲りに集中する大事な時期なのだからそっとしておいてほしい――。長野の心情を代弁すれば、おそらくこういうトーンではなかろうか。

 思えば入団会見で長野は「若い選手の多いカープに入って、学ぶことはたくさんある」と語っていた。すでに厳しい生存競争に揉まれつつハードな練習をこなしている赤い背番号5は常勝軍団カープの強さの真髄を早々とキャンプで体感し、学び取っていることだろう。

  
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