2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2011年10月24日

 全天候型の貨物の積み下ろし倉庫の中は、数多くの自動車部品が目につく。ここではモノを保管するだけではなく、検品や包装まで行う。荷を右から左に流すだけではなく、付加価値を付けて送り出すわけだ。

 コンテナヤードのそばにある倉庫群。

 FTZ内では付加価値税のほかに法人税や所得税、関税までもが減免される。また、ほぼタダ同然で最長50年間の土地を賃貸できる。C&Sの場合、ルノーサムスン自動車との取引が80%を超えるというだけあって、同じグループの日産自動車向けの部品も多い。逆に、日産から運ばれてきたエンジンもあった。C&Sの物流チーム部長のジ・ヨンフン氏は、「多くのモノはここに1日も止まることなく運ばれて行きます」と話す。

 三井物産もFTZの活用に動いている。同じく新港北地区にある釜山グローバル物流センター(BGDC)に29%出資。同社はここで製品を一時保管し、梱包やラベリングを施して日本や、逆に海外に向けて出荷する予定だ。

総合商社が考える新たなビジネス

 競争力のある港を造ることで、荷を集め、集めた荷を短いリードタイムで、付加価値まで付けて運ぶ。使い勝手の良い港には、さらにまた荷が集まるという構図だ。

 もちろん、一部には問題を指摘する声もある。例えば、韓国の海運会社幹部は「釜山のコンテナ取扱量は増えているが、韓国国内での取り扱う割合が減っている」と危惧する。かつては、国内の9割超を占めたが、現在は7割強にまで落ちた。その分、光陽、仁川港などが勢力を伸ばしつつあるという。もう1点懸念材料を挙げるとすれば、需要の伸びが遅いために、新港の建設計画が遅れていることだ。当初11年までの完成計画が、15年まで延びている。

 だが、物流倉庫に並ぶ日本関連の輸出入品の数の多さを目の当たりにすると、日本関連の荷に関しては、増えることはあっても減ることはないように思える。三井物産によれば、物流拠点と在庫費用削減のために、国内にあった在庫を徐々にBGDCの倉庫に移す動きが出始めているという。

WEDGE11月号 特集 物流も韓流 釜山港に集う貨物
◎釜山新港の威容 鍵は「トランシップ」戦略
◎いまや輸出拠点は韓国/日本は港湾戦略の転換を

 

◆WEDGE2011年11月号より


 




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