From LA

2019年3月8日

»著者プロフィール

 しかしギルドに属さないストリーミングサービスにはそうした義務はなく、いわば業界にとっては異端児、既存のルールを打ち壊す存在でもある。古き良きハリウッドで育ってきた映画人の中にはそのような存在を疎ましく思う風潮というのはあった。映画の出演料よりも高い金額でトップスターやテレビ司会者などがストリーミングサービスに引き抜かれることもあり、ハリウッドの斜陽に拍車をかけているのも事実だ。

 スピルバーグ監督は「映画とは映画会社だけではなく劇場、広報など周辺の業界を含めた産業であり、発表と同時に世界に配信されるストリーミングサービスと同等に考えられるべきではない」と語ってきた。

 例えば「ROMA/ローマ」の場合、公開された劇場は限定的で、ストリーミングサービスの月額に数ドル上乗せすれば劇場公開作品も無料で見られる、という特典が付いている。ネットフリックス視聴者に対しては広報活動も完結した形だ。

ムラ意識に固まった古い時代の遺物

 一方で公開劇場が限定されている作品がアカデミー候補になれないのなら、ほとんどの外国語映画は対象外になる、という批判もある。中にはスピルバーグ監督らネットフリックス批判派を「ムラ意識に固まった古い時代の遺物」と揶揄する声まである。

 ネットフリックスはスピルバーグ監督の発言に対し直接にはコメントしていないが、ツイッターで「ネットフリックスは映画チケットを購入できない層、映画館のない場所に住む人々などに映画へのアクセスを可能にしてきた。また誰もが、どこでも、同時に新しい作品を楽しむことができるツールにもなってきた」と書き込むなど、今回の動きに真っ向から反対の立場を取っている。

関連記事

新着記事

»もっと見る