スクーターによるひったくり
外務省によると、ロンドンでも被害が増加している。特にスクーターを使ってスマートフォンやバッグをひったくる窃盗事件が多くなっている。この手の被害に遭わないためには、歩道を歩く際にはバッグは必ず車道側と反対側に持つようにし、時々は後ろを振り返るなどして後方への注意も怠らないことだという。
凶悪事件も増えており、17年の犯罪発生率(10万人当たり犯罪発生件数)は、東京と比較すると殺人が3倍、強盗が128倍、侵入盗が20倍となっている。18年もギャング間の抗争事件が相次ぎ、6月10日現在で74件の殺人が発生している。
昨年、英国の大使館に報告のあった日本人が窃盗や強盗などの被害件数は、4~6月は66件、7~9月が91件、10~12月が117件とこのところ増加傾向が目立つ。最も多いのはスリによる被害で、18年4月~19年3月の間に199件もあった。よくあるのがバッキンガム宮殿の衛兵交代式などの観光名所で写真撮影に夢中になっている時に、持ち物への注意が手薄になり財布などが抜き取られるケース。特にこれからは暑くなると軽装になるので、財布など所持品へのガードが低くなり狙われやすくなるという。
偽警官にも注意
欧州の主要都市で多いのが偽警官による被害。ロンドンで昨年起きた事例は、ビクトリア駅付近で男性に道を尋ねられ対応しているところに、私服の警官と称する男性2人組が麻薬捜査をしているとして近寄ってきて財布の提示を求めてきた。最初にサクラの外国人が財布の提示を求められた後で日本人に財布を見せろといわれるので、ついつい警官だと信用してしまいがちだという。
後で返還された財布の中を確認すると、現金が抜き取られていたというもので、この手口は以前からあるものだが跡を絶たないという。偽警官を見破る方法は、何かを尋ねられたら、「貴方の警察官ID番号を教えてください」と質問すれば、偽警官の場合はすぐに立ち去るという。
またロンドンでは最近テロ関係の情報が多く通報される。そのたびに多くの警官がその対応に集中するため、窃盗など微罪への対応には手が回らなくなりがちだという。これについてはロンドン市民からも不安の声が上がっている。