2024年4月19日(金)

中東を読み解く

2019年5月1日

ビンラディンと同じカラシニコフ

 ISの動向を監視している団体などによると、バグダディの映像はイスラエルの総選挙や、スーダンのクーデター、アルジェリア大統領の辞任などに言及していることなどから、4月11日から同22日の間に撮影されたようだ。スリランカ・テロについては、映像の終わりの音声メッセージで触れられており、本来の映像に後で追加されたものらしい。

 バグダディは映像の中で「われわれの敵との戦いは消耗戦であり、敵は(最後の)審判の日まで戦いが続くことを知らなければならない」と述べ、あらゆる力で敵を追い詰めるよう、支持者らに呼び掛けた。

 バグダディの発言の狙いは「指導者と組織が健在であることを示して、地下に潜伏している多数の戦闘員の士気を高めると同時に、世界のイスラム教徒の行動を刺激することにある」(ベイルート筋)。映像の最後に、同席していた支持者の1人が各地のIS分派の名前を記したフォルダを手渡した様子も収められているが、これは世界中にISの触手が伸びていることを示すためだろう。

 映像を見ると、バグダディは5年前と比べて肉が付き、ヒゲは白くなり、一部を赤褐色に染めているかのようだ。話し方は穏やかで、テロ組織のトップとしてはむしろ控えめな印象が強い。側にAK74カラシニコフ・ライフルが立てかけられていた。このライフルは国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディンも映像を公表する際に所持していたのと同じ武器だ。


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