中東を読み解く

2019年5月1日

»著者プロフィール

潜伏先はシリアの砂漠地帯か

 映像からは見える限り、潜伏先を暗示するようなものは映っていない。だが当然のことながら、米情報機関はそれこそ針の穴を探すような分析に取り組んでいるのは疑いない。イラクやシリアでの最近の報道では、バグダディがシリア東部ホムス県「バディア砂漠」の人里離れた場所に潜伏している可能性が高いという。しかし、シリア国境に近いイラク西部に潜んでいるとの指摘もある。

 いずれにせよ、バグダディ1人での潜伏は不可能だ。ビデオには、少なくとも3人が同席していたことが見て取れる。恐らくは極めて少数の側近兼ボディーガードとともにいるはずだ。携帯電話などの電子機器は米情報機関に居場所を探知される恐れがあるため、一切周囲には置いていないと見られている。

 連絡や指令はすべてクーリエを使って行っているだろうが、米国は無人偵察機を多数飛ばして不審な車両などを監視しており、クーリエを使うのも極めてリスクの高いものだろう。2011年5月に米海軍特殊部隊シールズに暗殺されたビンラディンはアフガニスタン国境に近いパキスタンのアボタバードの屋敷に潜伏していた。暗殺のもようは当時のオバマ大統領やクリントン国務長官も生中継で見守った。

 CIAが潜伏先を突き止めたのは容疑者の拷問の末、ビンラディンの連絡係の名前が判明したからだ。その辺の経緯は映画「ゼロダークサーティ」に詳しいが、この時のビンラディンに付けられたコードネームはネイティブ・アメリカン、アパッチ族の戦士“ジェロニモ”。バグダディにはどんなコードネームが付けられているのだろうか。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る