スリランカ最大都市コロンボの教会や高級ホテルなど8カ所で21日、連続自爆テロが発生、これまでに邦人1人ら207人が死亡、450人以上が負傷した。邦人の負傷者は4人。犯行声明は出されていないが、13人が拘束された。10日前に警察からテロ警戒情報が流されていた。謎の過激派組織がテロの背後にいるとの見方が出ている。
復活祭と外国人が標的
テロが相次いだのは午前8時45分から9時45分ごろまでの間の1時間で、3つの教会と3つのホテルが攻撃を受けた。その後、午後2時台にも2件の爆発が起きた。攻撃を受けた教会はコロンボの「聖アンソニー」、ネゴンボの「聖セバスチャン」、東部バティカロアの「ジオン」の3つ。中でも「聖セバスチャン」では104人が犠牲になった。
被害を受けたホテルはコロンボの「シャングリラ」「シナモン・グランド」「ギングスブリー」で、いずれも日本人を含め外国人がよく宿泊する五つ星ホテルだ。教会ではこの日、イースター(復活祭)の行事が行われ、信者が多数詰めかけていた。警察はキリスト教徒と外国人を狙った組織テロと見ている。
警察は事件に関係したとして13人を拘束したが、過激組織が周到に計画した連続テロであることは間違いないだろう。最後に爆発事件が発生したのは、犯行グループの隠れ家。急襲の際、警官3人が死亡したが、隠れ家から大量の爆薬が押収された。犯人らが新たな爆弾事件を計画していたようだ。
犯行声明などは出ていない。しかし、「自爆テロ」という手口から、また国防相が「犯人たちを“殉教者”にしないよう」報道の自粛を求めていることなどから、イスラム過激派による犯行との見方が強まっている。同国では、仏教徒が70%と多数派。次いでヒンズー(12%)、イスラム(10%)、キリスト(7%)というのが宗教勢力地図だ。
地元メディアなどによると、警察は4月11日、キリスト教会に対する自爆テロが発生する恐れがあるとする警戒通達を治安関係者に出していたが、未然に防ぐことができなかった。当局の失態だ。その通達が外国の情報関係者の発言として指摘しているところによると、テロを画策しているグループは「ナショナル・ソウィース・ジャマース」という組織。その主張は「不信人者を殺すことにより、イスラムを拡大していこう」とするものだというが、実態は不明だ。