中東を読み解く

2019年6月15日

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海上自衛隊の派遣はないのか

 こうした中、日本にとって大いに心配すべき問題が浮上しつつある。トランプ政権からホルムズ海峡に海上自衛隊の艦船を派遣するよう要請があるかもしれないことだ。現在、米国を中心に、ペルシャ湾やホルムズ海峡の船舶の安全を確保する方策について検討が進められており、その中の1つが石油タンカーなどを守るための護衛艦の派遣だ。

 世界需要の20%に当たる約1800万バレルの原油が毎日、ペルシャ湾岸からホルムズ海峡を通過して出ていく。とりわけ日本に輸入される原油の80%以上、天然ガスの20%が同海峡を通る。日本にとってはエネルギーの生命線であり、同地域から最も恩恵を受けている国の1つだ。

 だから、タンカー攻撃が再発するようなら、損得勘定しか頭にないトランプ氏が米軍の護衛の負担や費用を節約するため、日本に海自艦船の派遣を要求してくることは十分あり得ることだろう。安倍政権が安保法制を整備し、集団自衛権を容認したことも知っているはずだ。

 2015年に成立した安保法制では、ホルムズ海峡が機雷などで封鎖されれば、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」になるかどうかをめぐって議論が交わされた。政府が当時、タンカーが通れなくなれば、「存立危機事態」に該当すると主張したのは記憶に新しい。

 海自の艦船がすでにソマリア沖で海賊から船舶を守る護衛任務についていることもあり、日本政府はトランプ大統領から求められれば、検討せざるを得ないかもしれない。その時、イランとの友好関係はどうなるのか。安倍首相もまた、大きなジレンマに直面しつつある。

  
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