国際社会は行動を
米国が昨年の5月に核合意からの離脱表明したことへの対応は「イランは条約に基づいて60日間の猶予期間の権利を行使するが、われわれが取っているのは段階的措置で、このことはイランが核合意から離脱することを意味しない」と述べ、現状ではあくまで核合意にとどまる姿勢を明らかにした。その一方で「日本を含む国際社会は核合意が重要であるという意思が存在するのであれば、強い行動を起こすべきだ」と訴えた。
また安倍首相のイラン訪問中に日本籍のタンカーが攻撃されたことに関しては「日本とイランとの友好関係がこの地域に安定をもたらすことに反対する勢力がいるのも確かだ。(事件が起きて)24時間という短時間にだれが行ったかを米国が明らかにしたのは、大きな偽りだ」と指摘、ポンペイオ米国務長官がタンカー攻撃は「イランの犯行」と非難していることに強く反論した。
日本とイランとの関係については「安倍首相がイランとの外交関係樹立90周年を記念して訪問をしたことで、両国の関係は新しい時代に入った」と指摘した。その上で「両国の関係は中東地域の安定にも寄与している。今回の首相訪問を活用して、第三国の介入や妨害を受けることなく日本とイランの関係を発展させたい」と述べ、米国の圧力に左右されない2国関係を望んだ。
安倍首相はイラン首脳との会談前にトランプ大統領と電話会談を行って中東情勢などをめぐって協議した。このため、日本がイランと米国との交渉再開に向けて仲介役を果たせるのではないかと注目された。だが、ラフマーニ大使の発言を聞く限り、イランが米国と交渉のテーブルに付く考えは全くないようで、安倍首相が仲介役として出る幕はなかった。
日本にとって石油資源を確保する上で重要な調達ルートであるイラン原油の取引に関しては「イランは制裁を受けた今でも、様々な国と取引をしている。日本もその例外ではない」と述べ、日本に対して原油取引の再開を求める姿勢をみせた。日本は米国からイラン原油の取引停止要請を受けたが、昨年11月から約半年間はイランからの原油輸入が例外的に認められた。しかし4月以降は事実上、輸入がストップしている。石油業界としては輸入したくてもできない状態になっている。
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