売られている野菜が少なければ、お皿を飾る野菜も少ないスウェーデン。スウェーデン人の野菜・果物摂取量は世界でも低く、食品管理局の調査によると、当局が推奨する1日の摂取量500gを満たしている人は10人に1人しかいません。さらに食事内容そのものも栄養価が高いとは言えず、例えばマカロニにトマトケチャップとミートボール、またはソーセージを併せて出来上がり。近くの店でテイクアウトをして帰る人も少なくありません。共働き社会のスウェーデンでは料理に時間がかけられないという事情もあるのでしょうが、この質素さには落胆しました。
「世界一臭い」ニシンの缶詰
移民社会を反映するかのように、今やスウェーデンの街なかはケバブ、ピザ、タイ料理や寿司などの他国料理店で溢れており、スウェーデン料理の店を見かけることはほとんどありません。それでも、スウェーデンにも世界に誇る珍しい食べ物がいくつかあるので、ご紹介したいと思います。
まず有名なのが、シュールストレミングでしょう。発酵させたニシンの缶詰で、毎年8月の第3木曜日に解禁される夏の食べ物です。シュールストレミングの一番の特徴は「世界で一番臭い食べ物」と言われる、その強烈な臭い。水を張ったシンクの中か屋外で開けないと、数日は家の中にいられません。ある外国人が、年老いた隣人夫婦の家からしばらく異臭がするので警察に通報してみると、実は夫婦がシュールストレミングを食べていた、という話も…。遺体からの臭いと勘違いした、のは嘘とか本当とか。味はというと、私も一度挑戦したことはありますが、好んで食べたいと思うものではありませんでした。
スウェーデンの夏の風物詩の一つが、ザリガニパーティーです。ザリガニというと日本人にとっては子供の頃に捕って遊んだというイメージが強く、食材の感覚はありませんが、エビのようで美味しいのです。
ストックホルムにあるラクリッツ菓子(右)の専門店は、スウェーデン人に大人気。
一年中食べられるもので面白いのが、ブラッドプッディングという豚の血を固めたソーセージ。響きはよくありませんが鉄分たっぷりで、スウェーデン人の間では子供から大人にまで好まれています。
ラクリッツ菓子も忘れてはいけません。北欧だけでなく南欧でも親しまれている、真っ黒なグミ/キャンディーです。スウェーデン人にとっては「世界一美味しい飴」として非常に人気がありますが、慣れていない人にとっては「世界一不味い飴」。一口食べてみるや否や、思わず吐き出してしまうほどです。
世界一お菓子を食べるスウェーデン人と砂糖税
少々前になりますが、2010年4月1日の新聞Dagens Nyheterに、砂糖税導入を提案する興味深い記事が載りました。多くの読者がエイプリルフールの冗談と勘違いしたようですが、記事は本物、カロリンスカ研究所のClaude Marcus教授や作家のAndré Perssonをはじめ執筆した専門家達も本気です。それもそのはず、スウェーデンは世界で最も砂糖菓子(グミ/キャンディー類)を食べる国なのです。