2024年11月24日(日)

スウェーデンで生きる 海外移住だより

2012年1月16日

 記事によると、スウェーデンでは毎年一人当たり平均90ℓのジュースを飲み、17kgの砂糖菓子を食べます。これは他のEU諸国の2倍の量。その結果、現在、成人人口の11%が肥満と診断されています。米国の34%に比べると、11%は低いとは言えますが、日本の4%に比べると決して低い数値ではありません。子供においてはその肥満率は3~5%で、将来30000~50000もの人が肥満による糖尿、癌または心臓発作で死亡すると推定されているのです。

スーパーのお菓子量り売りコーナー。8.90kr(約100円)/100gのお菓子を袋一杯に詰めるお客をよく目にする。 500種類の品揃えを誇る専門店も。

 なぜ、スウェーデン人がこれほどにまでお菓子を消費するようになったのでしょうか。それは、1984年に国内の某菓子製造会社が考案した「お菓子の量り売り」というアイディアが大きな原因です。これが大ヒットし、10年間で一人当たりの年間菓子消費量が9,8kgから11,5kgにまで増えました。現在では量り売りコーナーは全国どのスーパーやコンビニにも設置されており、何百を越える種類を揃えた専門店への客足も途絶えません。一年で最もお菓子が消費されるイースターの時期には、なんと毎年6000tを超える量が販売されます。

 この菓子消費量はスウェーデンに限ったことではなく、実は各北欧諸国で見られる傾向です。砂糖税も、現にスウェーデン以外のノルウェー、デンマーク、アイスランドそしてフィンランドでは既に導入されており、更にデンマークは昨年の10月に脂肪税も導入しました。現時点でスウェーデンは、給食改善など他の対策に力を入れるべきだとして税導入は検討していませんが、今後の行方が気になるところです。

 もちろん、国民の全員が砂糖を大量摂取しているわけではありません。テレビ番組や書籍のおかげで健康に対する知識も広まっていますし、全粒粉のパンや麺類の品揃えは日本よりも豊富です。多少値段が高くてもエコ食材を選ぶ人が多いのも、スウェーデンの良いところでしょう。それでも、こちらで暮らしていると日本の食文化の素晴らしさには圧倒されます。何気ない日常の料理も、季節に合わせた特別な料理も、日本の貴重な文化。それを日頃楽しめる日本の皆さまが羨ましい限りです。

 今年も、移住生活の中で感じるスウェーデンと日本の社会、文化の違いを様々な面から皆さまにお伝えしていきたいと思っております。どうぞご愛顧くださいませ。


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