前向きに読み解く経済の裏側

2019年7月16日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

山奥の限界集落を維持するコストをどう考えるか

 高額薬の問題だけではありません。似たようなことは、あらゆる所で議論されるべきでしょう。

 たとえば山奥に高齢者だけが暮らしている集落があるとします。次第に住民の数が減っていき、最後は一人になるでしょう。それでも、その集落は維持するべきでしょうか。

 「誰にでも、住み慣れた場所で暮らす権利がある」というのは正論です。しかし、そのために道路や水道を維持し、電気やガスや郵便を送り届けるコストは国民が負担するのです。道路や水道は税金として、郵便等は高い料金として。

 まずは人口が一定水準を下回った段階で「都市部に立派な家を用意しますから、引っ越していただけませんか」と頼むべきでしょう。それでも引越しを拒まれた場合、どうすべきでしょうか。

 「受益者負担」ということで道路や水道の補修費用は山村の住民に請求すべきなのかもしれません。しかし、それでは「山奥には住むな」と言っているにも等しいでしょう。

 一方で、平野部の住民としては、単に「可哀想だから、道路や水道などを維持してやれ」と言うだけでは無責任です。「そのために費用がかかるなら、平野部にある図書館を閉鎖しても良いから」といった対案を出す必要があります。

 山奥に住む少人数の高齢者のために、平野部の住民が本当に図書館を諦める覚悟があるのか、問われるわけですね。

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